第33話
『ちょっと!何よあれは!どうして実家にあんなものを送るのよ!』
由香里から思い通りの電話がかかってきたのは内容証明が送られた日だった。
こうやって慌てて連絡したってことは配達員にサインして書類を受け取ったってことだろう。
安心した、ここで受け取りを拒否されたら話が始まらない。
由香里が世間知らずでよかった。
「そんなものを送ることになったからだよ。僕は君と離婚したいんだ、もちろん君に非があるとしてね」
『何言って――――』
「君は何かを思って行動してたんだろうけど、無駄だから。ちゃんと慰謝料も払ってよ?もちろん一括で」
『そんな!そんな大金一度に払える訳ないでしょ?』
「そう?じゃあ示談は出来ないね?裁判かあー。面倒なのは嫌だけど仕方がないよね?まあ、こっちには証拠になる写真や動画もいっぱいあるし、法廷にいる人たちにそれを見てもらって判断してもらうか」
『そんな!いやよ!!いやいや!―――ねえ、浩紀さん?嘘でしょう?あなたはこんなひどい事する人じゃないはずだわ!目を覚ましてよ!!みんなを悲しませて心が痛まないの?』
「その言葉、そのままそっくり君に返すよ。君のせいで周りの人が傷ついているんだから」
『は?』
「君の嘘を信じて味方になろうとしていたご友人たちは俺に謝罪してくれたよ。それとご両親はさぞかし悲しんでいらっしゃるだろうね?あまり俺のことをよく思っていなかったようだけど、今回ばかりは同情するよ。頭も股も緩い娘のせいで退職金も老後の資金も吹っ飛ぶんだろうから。せめて半分ぐらいは働いて返してあげなよ?」
『だから!それはあなたが訴えを取り下げてくれればいいことなのよ』
「そんな気はない。もう、俺の気持ちは変わらない。どれも妥協するつもりは無いから。電話で直接話すのはこれで終わりね。あとは代理人を通してください」
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