第30話
どちらの子かも分からない状態だったのだか、学生であるが社長の息子ということで一度は鍋島を選んだようだ。
だけど、鍋島がそんな一般家庭出身の嫁を貰ってもなんのメリットもない。
本人はその子を自分の子ではないと断固拒否してバックレたようだった。
仕方なく由香里は実質生活力がある俺を夫にしようとしてきたわけだ。
彼女の中で堕胎する選択はなかったのだろう。
その男のことが好きでどうしても産みたかったのか、それとも蓮人を使って後に嫁の座を狙っていたのか。
ビデオの中で笑ってる穏やかな表情を見れば前者のようにも思えてくる。
だから俺には興味が持てなく、冷たくあしらわれていたのだろう。
由香里の思考には辟易するが、男も大概だ。
自分に”不都合”が生じてはじめて由香里を頼ってくるのだから。
「親父とおふくろに蓮人のこと話したら泣いて喜んでた。金の事しか考えない親だったけど、いざ孫がいたなんて知って舞い上がってるよ」
そんなことはない。
孫だって立派な戦略の一部にしようとしているに違いがない。
まあ、それで例の女性と”婚約破棄”されないとなると舞い上がるのも強ち嘘でもないか。
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