第28話
「もう…離婚するだけでいいよ。慰謝料もいらないし親権もいらない。俺が離婚届を見せたら喜んでサインするだろ」
「そんなにすぐに結論出すなよ」
「だって、どう見ても親子じゃん。俺と別れて本当の家族の形に収まるんだから、それでいいだろ?」
「いやさ、ちょっと男の方がきな臭いんだよな」
「きな臭い?」
「うん。なんとこの男、違う女と会ってたんだよ」
「―――女友達とかじゃないの?」
「でもさ、ただの女友達とホテルには入らないだろ?」
「――――そういう、割り切った関係なんじゃないのか?」
「それがさ、相手の女の服装といい雰囲気といい、只者じゃないと思う。なんか、令嬢っぽかった。入ったホテルも敷居が高そうなところだったし。だから、ちゃんとしたところで調べてもらった方がいいかも」
「ちゃんとしたところって…探偵とか?」
「ちゃんとした書類を作成するためにも、興信所に調べてもらおう。弁護士さんと提携していることが多いらしいから、相談してみようか」
「でも、そこまでしなくても・・・・」
「俺は由香里ちゃんがお前のところに泣きついてくる予感がする。でも、お前はもう無理だよな?」
「…ムリだね。その男に騙されているとしても、どうも思わない。」
「そうだよな、一回裏切られて再構築とかあり得ないよな。だけど、相手はお前に愛されてた記憶を都合のいいように思い出して反芻しだすから、いろいろ取り決めていたほうがいい。接近禁止にして破ったら罰則金なんかも発生するように示談内容にもりこんだ方がいいし、由香里ちゃんがその男に金を渡してないかも調べてもらおう」
「そうか…。そういうこともあるかも知れないのか…」
俺の知らない事ばかりだ。浮気された方はそこまで頭がまわらないし。
貯金の使い込みも通帳を見ていないから分からない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます