第27話
「すっげーわ、ちょっと撮っただけでこれだぞ?」
長時間撮れるようにと画質は荒かったが音声もきちんと取れていた。
『ATMにするつもりだったけど、給料あがんなくて稼ぎが悪いんだよね、あいつ。しかもぉ、寝室に入ってきてウザいし』
そう愚痴りながら酒を煽り、寝ている蓮人の隣でことが始まる。
一度、早めのフニッシュを終えたかと思えばシャワールームでも始まって、下着姿で台所で洗い物をしている由香里の後ろに回りそのまま三回目に突入。
AVさながらの光景だった。
どんだけ俺の空間を汚せば気が済むんだ、こいつらは。
俺の中でその家全体がとても汚らしいものになってしまった。
帰ってすぐに腰を下ろすソファ、ご飯前に一日の疲れをとっていた浴室、蓮人とテレビを見たり話をするリビング、素っ気ない妻に向かって機嫌を伺って会話を紡ごうとしたキッチン。
回収してくれたそれらの映像を確認して、俺の記憶ごと汚いものに犯されていく気分になる。
次の日の朝になっても俺のことを悪く言う由香里。
それに同調しながら彼女をたしなめるガキ。
『俺も学生時代は終わったし専務として親父の会社に入社するつもりだからさ、そろそろ別れれば?』なんてぬかしやがってる。
『なあ?蓮人もおじちゃんがパパになったら嬉しいよな?』
『うんうん!』
そんなガキに懐く蓮人が嬉しそうに抱っこされていた。
そんな光景が全部、仕掛けたカメラに写っていたんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます