第23話
「蓮、一緒に風呂入ろうか?」
「―――やーや」
「なんでやーや?」
「おこだもん」
「おこ?誰が?」
「ん」
蓮は俺の方を指差した。
「パパ?怒ってないよ?それとも蓮が怒ってるのか?」
ブンブンと頭を振る蓮人。
いいたいことが何か分からない。
「おこなの!ニコニコないないの!めーっなの!」
「だから、何がダメなの?教えてよ、蓮」
二歳児にキチンとした答えなんて返ってくる訳がないのに、俺も少し無理矢理に先を促し訳を知りたくなっていた。
「もうやめてよ!蓮人があなたを怖がっているじゃない」
「いやいや、おかしいだろ?怖がってないじゃん。っていうか、お前が何か蓮人に言ってるんじゃないのか?」
そうとしか思えない。
俺がいないところで俺が怖い人間だって吹き込んでいるんだ。
「あなたが家庭を疎かにして仕事ばかりしているからでしょ?」
「は?」
「しらばっくれないで!子育ても家事も全部私に押し付けて、あなた何もしてくれなかったじゃない」
「いや、してただろ?」
この女、何を言ってる?
俺は十分にしてきただろう。周りにもここまでする夫なんてそうそういないって言われるくらいなんだから。
「蓮人と二人だけの世界に閉じ込まれたようで苦しかったの!なのにあなたは知らないフリばかり!」
「だから、何言ってるんだって、由香里」
さっきから言ってることが支離滅裂すぎる。
「それに!お給料も安いし!どうやって暮らしていけっていうのよ」
それに関しては何もいえない。
食費に関しては困らせることはないけど、余裕があるとは到底言えない。
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