第22話
もう由香里には未練も情の欠片もない。
離婚への踏ん切りがついた。
ただ、蓮人のことだけが問題だった。
俺は頑固として親権を取るつもりでいたけど、その決心はすぐに消滅しかけていた。
相手の男の顔を見てしまった時から、今までの不安が現実化してしまったんだ。
相手の男は、蓮人によく似ていた。
蓮人に似ているって表現は変か・・・。
蓮人が浮気相手の男によく似ているんだ。
由香里とその男の間に生まれた子であることは誰がどう見てもそう思うぐらいといってもいいだろう。
蓮人は自分の子だ。
戸籍にもそう証明されている。
けど、俺って人間は薄情だと思わざるを得ない。
他人の子だと分かってしまった時、由香里だけではなく蓮人のことまで気持ちが醒めてしまったんだ。
蓮人から聞いていた密会で、三人で幸せそうに笑っている姿しか頭にチラつかない。
このまま蓮人を引き取っても、これから愛していける?
とてもハッキリと言いきれる自信はなかった。
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