第10話

でも、俺はこの子の父親である事は間違いがない。


現に戸籍にだって実子と書かれている。


夫婦の課題はあれど、蓮人とどのように過ごしてもいいはずだ。



俺が帰ってくれば笑顔で迎えてくれる蓮人。


その笑顔に毎日癒されていた。



「ただいま~~!蓮人!!」


「―――――――――」



ある日、帰ったら家の中が静まりかえっていた。


「蓮~?由香里~?」



リビングは勿論のこと、トイレやバスルームにいる様子がない。


だとしたら寝室か?


リビングでそんなことを考えながら突っ立っていたら、後ろからドアが開く音がした。



「蓮人疲れて寝っちゃったのよ。そこにご飯あるから大人しくしてくれる?」


「あ・・・・わり。そうだったんだ。―――由香里は疲れなかったの?」


何となく表情が明るい気がした。


「疲れたわよ。でも今日は久々に友達と会って蓮人を遊ばせて楽しかったの」


「・・・・そうか」



俺の返事を聞くや否やドアを閉めてしまう彼女。


今まで子供を連れて友達と会うことが無かったのに珍しいな。


久々に会う友達・・・・かあ。


いつも夜に合ってる友達と別グループだったのか?


いや、そんなはずはないか・・・。



由香里はクールでカッコよくて知的な印象だけど、それは俺が勝手に埋め込んだイメージに過ぎなくて、必ずしもそうとは限らない。


こうやって自らボロを出していく注意力のなさが目立ってきていた。

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