第11話
それからというものの、仕事から帰ったら蓮が寝ていることが多くなった。
たまに起きていることもあるが、ニコニコ顔を見せてくれるだけで飛び込んでくることがない。
相変わらず俺を空気のように扱う妻は「おやちゅみ~」と俺に手を振る蓮の手を引き、寝室へと向かっていく毎日。
けど、その日はちょっと違った。
「ただいま~」
「おかーり」
蓮がリビングでひとり遊びをしていたんだ。
「――――ママは?」
「ママねんね」
「ねんね?」
「うん、れんね、ねんねないの」
「そうか。お昼寝いっぱいしちゃったのかな?」
「う~ん、ブーブでね、ねんねったの」
「そうか、車の中でいっぱい寝ちゃったんだな。だから夜更かししてるわけだ」
「ウフフ♬」
蓮人は夜更かしの意味がわかっているのか、悪戯っぽく微笑んで見せてくれた。
そういう顔を久々に見た俺はそれだけで心が温まる。
「じゃあパパとい~っぱい夜更かししちゃおうな」
「うん!しようしよう!」
蓮の笑顔を見ていたら仕事の疲れも吹っ飛んでいく。
俺はこの笑顔を守るために今まで頑張ってきたんだ。
仕事が上手くいかなくて疲弊してた時も、家族がいるから最悪の事態をなんとか踏ん張りながらやってこれたんだ。
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