第6話

「昨日も不発だったんだろ?」


「――――べつに、仕掛けてねーし」



会社で何かと気の合う後輩の相沢に茶化される。


後輩と言っても同い年だ。


俺は高卒で相沢は専攻卒。

だから俺が方が2年早く入社している。


コイツは俺の何もかもを知っている。


嫁と知り合うことになった合コンを企画した佐藤の友達でもあるからだ。


佐藤とは高校時代の友達だった。

相沢と佐藤は卒業後に仲良くなったらしい。



「なんかさ、最近顔色悪いよ?会社の顔がそんなんじゃダメでしょ?」


「え、そんなにかげってる?」


「うん、かなり」



それは無自覚だった。


「溜まってるなら気軽な女紹介しようか?五条なら喜んでセフレになるって奴いっぱいいるよ?」

「なにそれ」

「俺のブログに君がのってる時があるんだけど、反応する女多数なんだわ。連絡先教えろって結構くるんだ」

「・・・あほらし」

「あはは、そういうと思って”奥さん大好き人間”だから無理だよって言ってる。でもその気になれば軽く体だけの関係になってくれる女いると思うよ?」

「・・・興味ないね」

「ぎゃはは!興味ないねって、お前はクラウドかよ!まあ、それが嫌なら風呂屋に行くしかないな」

「だから、興味ないって」

「ウソだね、まだ20代なのに性欲なくなったとかありえねーし」

「・・・ほっとけよ」



妻以外にする気はない。できる自信もないし。


性欲が全く無いって言ったら嘘になるけど、他の身体を求めるくらいなら自己処理で十分だと思ってしまう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る