第5話

「由香里?腹減んないか?―――おかゆとか食べられる?」


「―――――ムリ」


「そうか・・・」



ドア越しにする会話。


俺は中に入ることができない。


由香里が中から鍵をかけているからだ。


鍵の解除なんて素手で簡単にできるけど、それが彼女の意思ならば俺は中に入る気になれなかった。


我慢できなくて入ってしまおうかって考えた時もあったけど、その後どんな反応をされるのが怖かった。




妻にいらないと言われたおかゆを大きな器に入れてラップをかけて冷蔵庫へと保存する。


明日の朝飯はこれに味噌と卵を入れた粥になりそうだな。



再び蓮人が眠る子供部屋に戻り、小さなベッド横にいつもの布団を敷いた。



もうずいぶんと妻と寝ていないな。


俺がここで寝かしつけるか、由香里が蓮人と寝室で寝るかの違いはあるけど、三人で同じ部屋に寝るってことが随分と前からなくなってしまった。


もちろん体の関係も1年近くレス。



正直体はきつかったけど、妻以外の人とそういうことはしたくなかった。

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