第28話 タイセーとラブリーの婚約

 国王陛下執務室


「……ワイバーン100体…洗脳…ははははは…好きにせよ…もうお腹いっぱいだ…」


「ワイバーン100体…簡単に言ってくれる…やはり神の子か…

 ところでタイセー。入れ替わった魂の大蔵大勢は元気なのか?」


「父上…正直言うと連絡手段が無いので分かりません。ですがここでの天才剣士の15年と日本での25年、両方の記憶を持って10年前の世界に転生しています。これはかなりのアドバンテージになるのではないかと。」


「アドバンテージ?日本とやらの言葉か?」


「ああ~そうですね、何をするにも有利な状態にあると言う意味です。」


「なるほど、確かにこれから10年間に起こる事が分かっていれば強味になるな。」


「はい彼の事です。きっと人生のプラスにしていると思います。」


「分かった、それなら安心だ。今はタイセー、お前が紛れもなく俺の三男坊だ。」


「父上これからも宜しくお願いします。」


 父と息子の会話に一区切りついたのを見計らって、国王陛下から要望が出された。


「ところでタイセーよ。半神にしか可能な事で、何か分かりやすいものは無いか?転移や特殊魔術等の軍事機密にせねばならん事以外でだ。」


「はあ分かりやすい事ですか?」


「今後貴族の中にはヨミウリ家への妬みから、うるさい者も出るであろう。それらを納得させられ、尚且つ軍事とは関係無いものだ。」


「あ~そうですねぇ~」

 タイセーが困っていると


 ピンポンパーン🎵

『私をお忘れですかタイセー様、冷たい半神様だこと。貴方だけのラブリーですよ♡』


「いやいやいやお前は無理だろ」


「「「ん?」」」


『お任せを見事な淑女に擬人化致します。』


「いや、やめとけって!」


「タイセー、何を1人でブツブツ言っておる。」


 国王陛下が訝しげな顔をしたその時。

 ピカーーーと執務室中が光に包まれると、見目麗しく美しい女性が出現する。


「サダハルオー・セリーグ国王陛下様はじめ重鎮の皆様方。

 私は女神の使徒ラブリー・エリザベスと申します。天界で財政錬金術筆頭官僚を勤める、エリザベス公爵家第1公女にございます。

 そちらにおられるタイセー様の力になるべく、女神様より派遣されました。以後お見知りおきの程宜しくお願い致します。」


 昼の正礼装として薄いピンク色のローブ・モンタントを身に纏い、180cmの高身長で神々しく美しいラブリーが見事なカテーシーを決める。


「天使さま…」

 あまりの美しさに思わずグリフィン皇太子が跪く。


「お前…本当にラブリーなのか…」

 普段も綺麗だが、ドレスアップしたラブリーの姿を初めて見るタイセー。

 その美しさに圧倒され固まっていた。


「使徒様であらされますか。12世国王を勤めるサダハルオーでございます。とお呼び下さい。」


「私のこともラブリーとお呼び下さい。」


 国王陛下さえうっすらと顔が赤くなっている、いや全員鼻の下が伸びきっているw


「ラブリー様。タイセーの父ヨシノブです。ヨシノブ、これからもヨシノブを宜しくお願いしますヨシノブ。」


「何で4回もって言うんだお前は。」


「そっちこそと呼ばせようとしてるだろ。」


 絶世の美女を前に、とても分かりやすい態度の王国ツートップw


「はい義父ちち上様。義娘ラブリーですが本当の娘同様、末永くお願い致します。」


義父ちち上?義娘?」


「はい私は使徒であると同時に、タイセー様の許嫁いいなづけですので。」


「「な!!」」「「えぇ~」」


 ラブリーの爆弾発言に執務室温度が氷点下まで下がる……


「タ、タイセーどういう事だ!」

 珍しく狼狽える"抑止力侯爵"


「いやぁ~その~あのぉ~」


「「ハッキリせんか!!」」

 国王と侯爵がハモったw


「昨夜魔王島の件が無事片付いたあと、ラブリーと夕食飲み会を共にし結婚の約束を致しました。」


「「なんと!!」」

 またハモるツートップw


「タイセー様ここからは私が御説明致します。国王様、義父上様、確かに昨晩二人は婚約の義を成しました。しかし誠に残念ながら、人と天使では子が授かりませぬ。タイセー様はこれから魔王島改め東京トーキョー王国の王になる御方。」


「はあ?東京王国?なにそれ」


「タイセー様。少しの間だけ無音になります。」


「パク?パクパクパク?……」

 タイセーが言葉を発するが何も聞こえない。


「失礼しました。私の夫が煩いのでwそれで問題は世継ぎの事となります。子が授からない私は2として、これからもタイセー様をお支え致します。」


2!それで良いのか?」


「はい義父上様。第1夫人には同じ人の子を迎え入れ、子孫繁栄に勤しむべきかと。私は正室や子供達の魔術教育係として、また護衛として中睦まじく生きて行く所存です。」


「パクパク!パクパクパクパク!!」


「ラブリー殿。見事なる御覚悟。この感服致しました。」


「いつまでを強調するんだ?」


「ヨシノブ。ラブリー殿の舅になるとは何と羨ましい奴だ。毎日遊びに行くぞ」


「いや毎日来るな、国王がそんなに暇な訳ないだろ。」


「グリフィンに王位を継がせれば問題ない。」


「ほお今の話。カエデからサクラ王妃に伝えさせても良いんだな。」


「……ヨミウリ侯爵よ。我とて戯れ言の1つや2つ申す時とてあるぞ。」

 サクラ王妃と聞いた国王。冷や汗を流しながら威厳に満ちた声を出す。


「……そうでございますか国王陛下様。お互い戯れ言はここまでに致しましょう。」


「うむ、してラブリー殿。タイセーの気持ちも確認したいのだが。」


「はい、では貴方。音声復活!」



「ラブリーてめぇ??あっ声が聞こえた?」


「タイセー。ラブリー殿に向くいとは何と言う許しがたい物言いだ!」


「国王の言う通りだぞタイセー!俺の可愛いに乱暴な言葉遣いは許さんぞ!」


 ここにきて国王と侯爵の意見が一致。

 他6人の重鎮達も「そうだそうだ!この羨ましい奴め!天使様に何て口を聞く!横暴だー!」

 こぞってタイセーを非難する。嫉妬に狂った男達は怖いんだなw


「国王様に義父上様。皆様もありがとうございます。」


「………」『ラブリー調子に乗るな』

『かしこまりー♡』


 こうしてタイセー&ラブリーの婚約は正式に認められました。

 尚セリーグ王国の法律では結婚に関しては16歳以上からとなっているが。婚約にその定義は無い。


 ーーーーーーーーーー


 皆さん気付きましたか?

 ラブリーのしたたかな戦略。


「しかし誠に残念ながら、と天使では子が授かりませぬ。」

 う~ん人ねぇタイセー君はですよね。


「あっ!忘れてました。ごめんなさい。でもタイセー様の子供ですよ♡」

 とか平気で言いそうですww

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