第27話 セリーグ国王との謁見②

 国王陛下執務室


 サダハルオー・セリーグ国王陛下

 グリフィン・セリーグ皇太子

 ニック・トラウト宰相

 ベッツ・アーロン近衛隊長

 ピート・ハミルトン執事


 ヨシノブ・ヨミウリ侯爵

 アレックス嫡男

 イチロー次男

 タイセー三男


 合計9人が執務室でメジャー帝国・マクガフ公爵・カブレラ魔族統括・魔王島実効支配一連の話をタイセーから聞いていた。


「今現在は外周部と宮殿周り城壁に、宮殿と防御兵器の設置までは終了したのだな。」


「はい国王陛下。

 次は道路を作りたいのですが、道幅・間隔等の方向性を王国側から出して頂ければ、その様に仕上げていきますが如何でしょう?」


とは?」


「はい?いやその国王陛下の考えに沿って、街作りを致しますので。」


「タイセー何を言っている。我はセリーグ王国の国王だぞ。

 魔王島のことなど知らぬわ。」


「……知らぬわって……?……」


「だから魔王島はお主が実効支配したのであろう?それはもうお主の島だ。魔王島をどう造ろうが、それはタイセーが決める事。

 我々セリーグ王国の者が口を挟むのは筋違いも甚だしいw

 好きにすれば良いでは無いかww」


「…………」

『何を言ってんだコイツ』


「はあーもういい陛下、余り家の三男をからかわないでくれ。」


「ぷっはははは~許せ、だがなヨシノブ俺は本気だぞ。

 魔王島はタイセーに全て任せる。

 そもそもセリーグ王国からすれば外国だ。

 俺がどうこう言う権利は無い。

 魔族から切り取ったのはタイセーだ。

 つまりタイセーの領土、名称もタイセー王国として建国するべきだろ。」


「…………」

『はあー建国って何だよ…しかもこの人、喋り方や雰囲気まで父上そっくりだし。』


『タイセー聞こえてるな、国王が自分を呼びする時は全部本気だ。

 どうやら魔王島はお前の国にしろって事らしい。

 諦めろ、一旦口に出した事は絶体に曲げない人間だ。

 昔からな。』


「はあーーーーー」

 あまりの事に念話ではなく口に出してしまうタイセー。


「はあーではない。タイセーよ、まずは国名を考えろ。

 次に街作りだが、タイセー国王陛下の住まう宮殿大手門の一番近くに、俺のセリーグ王国大使館を建ててもらいたい。もちろん対価は支払う。

 俺の国とタイセーの国、初の経済交流だなwwwww」


「父上……お助けを……」


「諦めなされ、タイセー国王陛下。セリーグ王国大使館の図面は今週中にお渡し致しますので。」

 ニック・トラウト宰相が逃げ道を塞ぐように追い討ちをかけてくる。

 流石ガルシアパーラ家を追い詰めた切れ者だ。


「おお宰相の言う通り、大使館の話は二人で詰めてくれ。

 島の話はこれで終わりだ、タイセー国王の好きにすればいい。

 さて俺への土産にとんでもない物を用意してるとヨシノブから聞いてるんだが、

 それを見せてもらえないかなww」


『終わった…もう逃げられん…

 どうせやるなら、魔王島だって北海道よりちょい広いからな。

 いっそのこと世界最強の国にするか…って何考えてるんだ俺は。

 国王なんてやったら冒険者出来ないじゃん…』


「タイセー大丈夫か?」


「えっ?アレックス兄上?」


「いやだから国王陛下さまへの土産の話だ。」


「あっ、あ~~そうでした。ここでは狭くて出せません。どこか広い場所をお借りしたいのですが。」


 ベッツ・アーロン近衛隊長

「それなら近衛騎士団の演習場で良いのでは?」


「おーそうしよう。タイセー俺と皆を転移で連れてってくれw」


「……そんなことまで御存知ですか……父上から聞いたのでしょうか?まあいいでしょう。

 こうなってはもう隠し事は致しません。では早速」


 シュン!

 国王陛下執務室から近衛騎士団演習場に転移する9人


「おおー凄いな本当にできたぞ。」

「なんと!」「これは!」

「これなら魔王島へも一瞬ですな」

 皆それぞれ転移の感想をかたる。


「はあ、もうこうなったら遠慮はしませんよ。ガンガン行きます。」


「それでこそ"抑止力侯爵"ヨシノブの息子だw」


「陛下、タイセーをあまり煽てないように。」


「いいだろヨシノブ、今日は何か年甲斐もなく楽しいぞw」


「じゃあ出します。」


 ドスン、ドオーーン、ドドン


 三体のドラゴンを見て

 タイセー以外全員が絶句した。


 **********


「凄いな…これは…さすがに《俺》も少しビビった…ハミルトン鑑定してくれ。」


 何とか正気に戻った国王陛下。高レベル鑑定スキルを持つピート・ハミルトン執事に指示を出す。


「は、はい…畏まりました。」


 ハミルトンは両頬をピシッと叩き、ドラゴン三体の威圧・圧迫感を必死に拭い去る。


飛龍スカイドラゴンSクラス。

 他の二体に比べ小柄ですがスピードに特化してますね。

 スキル高速飛翔はMax飛距離500kmを30分で飛べるとのこと。

 但しスタミナが無く島から大陸まで渡るのは無理だったのでしょう。

 助かりました…。火炎放射は小規模とはいえ、人間50人位なら1度に焼き殺せます。

 これの最も恐ろしいのは気配隠蔽です。」


 まじまじとドラゴンを見つめながら

「つまり姿が見えない敵が突然、上空から火炎放射を浴びせてくるのか。打つ手無しだな…」

 実際の対応を考え絶望的表情を浮かべるベッツ・アーロン近衛隊長


「次は赤龍レッドドラゴンSSクラス。

 しかもこの個体は限り無くSSSクラスに近いです。

 きっと魔王島の魔素が魔の森より良質で濃厚なのでしょう。

 咆哮スキルが火炎放射と表示されてますので、より強力な攻撃力を持っているかと。

 王都の街並みも焼き尽くせる程のレベルです。」


「……俺の街を焼き尽くすだと……」


「1度ビームを放つと3分間のクールタイムと出てます。

 その間に仕留めるしか無いですが、これも飛べますので対応は限られてくるのかと。」


「ヨシノブならどうする?」

 国王の問いかけに


「平原か海上。場所は限定されるが、防げないビームはで反らすしか無い。

 1度目を反らし空に逃げる奴を、俺の飛翔で追いかけスキルで空間毎叩き切る。

 最悪でも翼を狙い落下させる。

 仮に王都中心部等ビームを反らせ無い場合スキルで空間内に取り込む事になる。」


「空間結界か、10年前のメジャー帝国侵略もあれで防いだな…だがそれを使うとヨシノブは一切他のスキルが使えなくなる。」


「ああ、1時間ものクールタイムだ。防いでる間に皆で倒してもらうしかない。」


 セリーグ王国で国王陛下と唯一タメ口会話が許されているヨミウリ侯爵。

 それでも第三者の前では立場の違いを考慮し敬語で話しているが、興奮している今はつい地が出てしまう。


「これは!!」


「どうしたハミルトン?」


「は、はい陛下。これは普通の地龍アースドラゴンではありません。

 古龍エンシェントドラゴン化しております。ランクSSS!!」


「なっ!!SSS」

「「「…………」」」


 伝説でしか聞いた事がないランクSSS魔物。それを目の前にして声が出ない面々。


「たしか居酒屋ホッケェードオーのアーロン大将が、魔の森で遭遇した古龍はSSでは無かったか?」

 トラウト宰相の問いに


「はいそれより1ランク上なのは、やはり魔王島の環境では無いかと。」


「…ハミルトン鑑定を続けろ。」


「はっ。古龍大地龍エンシェントアースドラゴンランクSSS。

 5,500歳。通常体長150mスキルで2,000mになる。

 その大きさにも関わらず時速100kmで動ける。

 防御力1,000万・体力1億を誇り龍種最強である…と出ています…」


「「「…………」」」


「タイセー。これをどうやって倒した…」


 グリフィン皇太子の最もな疑問に皆がタイセーを見る。


「他の魔道師の収納魔法と違い、自分の収納は環境変化の部類に紐付けされています。

 どんなに高い防御力でも、攻撃を仕掛けられていると認識できません。

 エリアタイセーと名付けられている自分の収納魔法。それを防御できる魔力がこの世に存在しないのです。

 ただ時間停止ゾーンに入れると魔術も停止でキャンセルされます。

 古龍以外の二体は取り出した瞬間に剣術で首を落としました。

 絶命させた後に首を繋ぎ回復魔法で修復したので、傷痕も残っておりません。」


「剣で斬っただと!この巨体をか」

 王国重鎮達の前でずっと沈黙していた次男のイチローだったが、タイセーの剣術の凄さに思わず声が出た。


「兄貴これでも天才剣士だぞw」


「……ヨシノブ。今の領地にマクガフ領全てと魔王島を足し、ヨミウリとして独立を許すぞ。

 但し《俺》の国と永久安全保障条約を結んで貰うのが条件だ。」


「サダハルオー。いくらお前と俺の仲でも、これ以上戯れ言を抜かすなら全てを捨て出奔する。」


「戯れ言では無い!初代ナガシマ様の言葉に今やっと合点がいった。」


「国王陛下いえ父上、初代様のお言葉とは?」


「グリフィン、この会議の最後に皆に話すつもりだった。

 初代様は今朝方『神の子が現れ古き守りを一新してくれる。慶びを持って共存し存分に護国せよ。それがお主の役目と心得るのじゃ』とな。」


「共存…ですか?」


「ああ俺はてっきりグリフィンが神力を賜り親子での権力争いを俺が避け、慶びを持って王位を譲り共存せよとの御言葉かと思っていた。

 しかし今朝の様子を見るに神力は感じられず半信半疑だった。」


 ヨミウリ侯爵は念話で確認をする。

『タイセー重要な事だ、嘘偽り無く答えろ。神力を授かったのか?』

『……はい…種族が人間から半神に変わってます…』

『……そうか……』


「神力ですか…残念ながら私にはそんな力は宿っていません。」


「ああタイセーはどうだ?集団転移・魔王の魂までも封じる神の収納・剣神並みの剣術、魔王島で行われた創造神級の造成力。

 どれを取っても人間が1人では不可能だ。」


「うっ………」


「心当たりがあるのだな?」


 先程までの雰囲気は一切消え、本来の国王陛下らしい威厳に満ちた声で問いかけられた。


「父上…」


「良い。ここにおられる皆に全てを話せ。」


「…はい分かりました。」


 タイセーはこの世界を管理する女神により、地球の日本という国から魂のみ召還され、本来のタイセーと入れ替わった"大蔵大勢"という異世界人である事。


 女神の目的は魔王復活の阻止。

 女神自身は干渉出来ないため、自分が種族半神になり様々なスキルを得て、魔王島を実効支配した事などを皆に説明した。


「そうか…入れ替わったのか…」

 少し寂しげな表情のヨミウリ侯爵


「今まで黙っていて申し訳ございません。」


「そこは知らなかったと見えるな、ヨシノブ。」


「はい陛下。ただ神が降りてきているのではないかと、薄々感じてはおりました。」


「確かに王都で会ったとき、雰囲気が激変していたのには驚いた。」

 アレックスが違和感の謎が解け頷いている。


「でもタイセーはタイセーだろ。入れ替わろうが関係ない、お前は俺の弟だぞ。」

 次男イチローの言葉に救われるタイセーとヨミウリ家族。


「脳筋のイチロー兄貴にしては、生まれて初めて良いことを言ったね。」


「タイセー。いくらなんでも脳筋とは酷いだろ。」


「イチロー兄貴にとって脳筋は褒め言葉だろ。」


「おいタイセー。人外じんがいのお前にだけは、脳筋扱いされたくないぞ。」


人外じんがい言うな。」


「2人ともいい加減にしないと拘束するぞ。3時間位入りたいのか?」


「「アレックス兄上!それだけは御勘弁を」」


「わははははははは、ヨシノブ良かったな。

 お前の息子達はタイセーが半神だろうと全く変わらず接している。

 これなら安心して建国も任せられるのではないか。」


「その件については1度持ち帰り、家族全員で話し合いたいと思います。」


「そうだな、だが《俺》の気持ちは変わらんぞ。

 カエデも喜ぶと思うがな。」


「自分と違い瑞穂の王女ですから、王族なりの苦労も知っているでしょう。

その辺も含め話し合いますので。」


「分かった、ではこの件はここまでだ。家族会義の結果報告を待ってるぞ。」


「今年中には必ず」


「うむ、さてタイセー。飛龍・赤龍の討伐方法は分かった。残り1体その怪物 古龍エンシェントはどうやって倒したのだ。」


「それはまだ生きています。性格には仮死状態で収納しています。」


 国王「…死んでいない…のか…」


 侯爵「それは危険だろタイセー」


「収納から取り出し1時間の時間停止魔法をかけ、光洗脳をしました。」


 国王「時間停止魔法…?」


 侯爵「光洗脳…?」


「はい流石 古龍エンシェントだけあって洗脳に30分もかかってしまい、自分もまだまだ修行が足りんと反省しています。」


 国王&侯爵「「ふざけるな~この人外じんがい!!」」


 アレックス「まったく呆れた奴だ」


 グリフィン皇太子「古龍エンシェントを洗脳…たった30分で…」


「エンもう動いていいぞ」


 エン(古龍)「はいタイセー様」


 イチロー「もしかして名前付けたのか?」


「そうだよ兄貴。エンシェントじゃ長いから縮めてエンだ。」


 するとエンがタイセーに近寄り、仰向けになってお腹を向け絶対服従の姿勢で寝転がる。


 ゴシゴシ腹を撫でてやると「く~ん」と猫なで声を出すSSSランク魔物 古龍エンシェントドラゴン


「ヨシノブ…夢だよなきっと…」


「ああ…古龍を飼い慣らすなんて夢に決まってる…」


「国王陛下。お土産3体と言いましたが、エンは魔王島の守り神として持ち帰ってもいいでしょうか?」


「当たり前だタイセー。

 生きているを置いていかれたら、国民が逃げ出す…」


「その代わり光洗脳したワイバーン100体、後でベッツ・アーロン近衛隊長に渡しておきます。

 セリーグ王国空軍部隊設立して下さい。」


「……ワイバーン100体…洗脳…ははははは…好きにせよ…もうお腹いっぱいだ…」


 ーーーーーーーーーー


 ここまでで十分過ぎる程の驚きを与えられたセリーグ王国重鎮達だったが、この後すぐに驚愕させられる事件が待ち受けていた。

 それは…また来週(^o^)/~~

 いや明日予約投稿してます。




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