第26話 セリーグ国王との謁見①
翌朝
ヨシノブ・ヨミウリ侯爵執務室
「タイセーお前…自分が何を言ってるのか分かってるのか?」
魔王島からホッケェードーに転移しラブリーと打上げ。
光魔法スキル光学迷彩を応用した擬態で、瑞穂王国出身20代後半の顔立ちをした錬金術師トゴーに変身。
ラブリーのAIテクニックで身分証明書も27歳にパーフェクト偽造。
異世界初ぷはー飲み会で盛り上がった翌朝。
「ですから父上。魔王島を完全実効支配しました。魔族、魔物、ついでに封印されていた魔王の魂も収納しております。」
「収納しておりますって………」
「タイセーそれで初代様御二人の結界が無くなったと言うのは、どういう意味なんだ?」
「アレックス兄上。先程説明した通り古き守りは消滅。私の光防御結界で包み込み収納に封じているということです。」
「それをナガシマ様マツイ様が語りかけたと?それが信じられんから聞いてるんだ。」
「まあ待てアレックス。実はどうにも非現実すぎて黙っていたが、今朝方夢の中にマツイ御先祖様がお出ましになられた。」
「初代様が?何か申されたのですか?」
「そちは良い縁を授かった大切にな。と一言だけ語り消えていった。初めてなのだ、マツイ様が夢に出てきたのは。」
「父上とタイセーに……なぜ俺には出てこない……」
その時"リーンリーン"とセリーグ国王執務室と直結の緊急魔力伝書箱(現代のFAX)が激しく鳴り響く。
クロマティ執事
「これは!閣下、封書署名が国王陛下様直筆でございます。」
ヨミウリ侯爵
「どれ、……………なんと!国王陛下様の元にも今朝方初代ナガシマ陛下様が夢に御出座しなされたと。」
「「おお!!」」
驚愕の声をあげるアレックスとクロマティ。
「今すぐに登城せよとの要請だ。クロマティ急ぎ準備せい、護衛騎士も10人で良い。すぐに出る。」
「はっ!」
「あーー待ってクロマティ」
「はい?タイセー様?」
「父上ひとまず王都のヨミウリ屋敷に翔びましょう。」
「翔ぶ?そうかタイセーの転移か…」
「はい用件は初代様絡みです。魔王島の事も報告せねばなりませんし、夕方17時に登城で宜しいですか?と返信して下さい。国王陛下様への土産も用意してます。」
「おお17時か……あまりの速さに面喰らうだろうな……」
「今すぐでも可能ですよ。」
「それは止めとこう。1度に何人連れていける?」
「何億人でも大丈夫です。」
「「「…………」」」
「それ今は誰にも言ってはならんぞ。」
「分かりました、父上。」
「クロマティ正装で派手に参るぞ。騎士100名整えさせよ。集合時間は15時修練場だ!」
「は!!では失礼します。」
「登城にはアレックスとタイセーお前達も同行しろ。」
「はい畏まりました。」
「では父上、私は王都屋敷に父上御一行100人以上が15時過ぎに到着すると伝えて参ります。土産を準備して14時迄に戻りますので。」
「うむ、それで土産とは何なのだ?」
「
「「…………」」
「もう良い…早く王都に行きなさい…」
「タイセー………ドラゴン三体って………俺も王都屋敷で正装する……連れてってくれ…」
「はい兄上、では父上後程」
「消えたか…ははは…本当にあれは俺の子なのか…神の子だよな…多分…」
**********
同日15時
ヨミウリ侯爵家・オオテマチ屋敷修練場
第一級正装で綺麗に着飾ったヨシノブ侯爵閣下に騎士100名と馬100頭。
「これから王都に翔ぶってどういう意味なんだ?」
「俺に聞くな、知るわけ無いだろ。」
「何でもタイセー様の転移で移動するらしいぞ」
「転移はアレックス若様だよな」
「大丈夫なのかな…」
「では父上参ります。」
「うむヘイワード総長、整列だ。」
「はっ!騎士団総員行進隊列を組め。」
ヘイワードの掛け声で見事な隊列が出来る。
ヨシノブ・ヨミウリ侯爵
「これより我らは登城のため王都へ向かう。タイセー転移術発動!」
タイセー「転移スタート!」
無詠唱で良いのだが戦闘訓練同様、発令をする。
全員が光に包まれた瞬間!!
留守を預かるクロマティ執事が目を擦りながら、その場に跪く
「本当に消えた!おおー神よ。」
**********
同日15:10
王都スイドウバシ
ヨミウリ侯爵家・王都屋敷修練場
ピカーーと光が走りそれが止むと
「おおー本当に現れるとは……」
エバン・ストーン王都部隊隊長
「あまりにも凄すぎる……」
ダニエル・グラスノー
ヨミウリ第3騎士団副団長
「タイセー様の神力はこの世の奇跡です。」
マイケル・トライネン王都屋敷執事
「ストーン・グラスノー・トライネン出迎え御苦労。」
「「「侯爵閣下様。無事御到着何よりでございます。」」」
「父上、全員分の軽食と飲み物を用意しております。小休止後16時王城出立で宜しいですか?」
「ああそれでいいアレックス。城まで20分もあれば着くが、ゆっくりと歩き、王都民に"抑止力侯爵"騎士団の鍛え上げた行進を見せてやろうw」
一方で転移した騎士団員達は
「これは夢だ夢なんだ…」
「何かのドッキリだ…」
「そうだ起きたらオオテマチのベッドの上だ。」
ざわざわするのも無理はないかと。
**********
煌びやかに着飾ったヨミウリ侯爵家の隊列が、王城までのメインストリートに差し掛かる。
「きゃあ~若様~~」「アレックスさま~」「すてきーーー」「お嫁さんにしてぇ~」
超イケメンで王都民女性人気No.1のアレックス。
一目見ようと若い女性達で歩道が埋め尽くされている。
「分かってる事だけどさ、毎度毎度兄上だけズルいよなタイセー」
「ホントだよな。俺はまだしもイチロー兄貴なんて、ガタイのいいオッサン意外見向きもしないもんなw」
「おいタイセー、兄の俺に向かって酷くないか?何だよガタイのいいオッサンって。」
「おいお前達。ブツブツ言ってないで、もっとビシッと背筋伸ばせ。拘束するぞ。」
「「りょ、了解です。アレックス兄上(汗)」」
イチロー&タイセーは、嫡男アレックス拘束スキルの恐ろしさを幼少期から知っている。
たっぷり40分かけて王城前大手門に到着したヨミウリ家一同だったが全員驚愕した。
「ヨミウリ侯爵、見事な隊列ご苦労である。急な呼び出しですまなかったな『どーだ驚いたかヨシノブw』」
サダハルオー・セリーグ12世国王陛下が自ら大手門まで出迎えに訪れたのだ。
その場にいる皆が固まり、思い出したように慌てて跪く。
「「「ははぁーー」」」
そんな中1人だけ陛下に近寄り臣下の礼を取りながら
「国王陛下様もお人が悪い…これでは皆が動けなくなります。『まったく…どうせワザとだろw』」
同学年で今も変わらず大親友の二人。小声でため口会話だw
「国王陛下様、皆が戸惑っております、至急謁見の間に御戻り下さい。これより先は私目が御案内致しましょう。ささっヨミウリ侯爵閣下御一同こちらへ。」
アレックスに負けず劣らずのイケメン皇太子グリフィン・セリーグ殿下が、跪き動けずにいる皆を助けるため前に出てきた。
「はっはははは~分かったグリフィン善きに計らえ。まっておるぞヨミウリ侯爵『今夜は美味い酒を用意してるぞヨシノブ』」
「は、ははぁ~『まったく…少しは自分の立場を考えろ』」
グリフィン皇太子の機転でやっと王城内へ向かう事ができるヨミウリ家の面々。
謁見の間には侯爵親子四名と
護衛としてヘイワード総長含め4人のみ入場。騎士団員達は控えの間にて待機するのが習わし。
他の貴族への手前、潜伏していたヨミウリ家諜報部隊に、嫡男アレックスが転移魔法で新型兵器を供給。それによる帝国宮殿完全破壊の功績を称えるのが表向きの理由。
「アレックス・セリーグ王国陸軍大尉を先の功績により陸軍少佐への昇進、並びにセリーグ王国男爵位に任ずる。領地は追って伝えるが、まずは金貨3億円を与える。これからも父共々王国のために励むのだぞ。」
「はっ。我が生涯を国王陛下とセリーグ王国に捧げます。」
「うむ、期待しておるぞ。」
「それと急遽集まってもらった王都住み貴族の皆よ。社交ホールに食事と特上ワインを用意してある。存分に楽しんでくれ。」
「「「ありがとうございます。国王陛下様。」」」
「おおそうだ、国境でのメジャー帝国の動きについて話がある。防衛を担っているヨミウリ家の者、余の執務室に来てもらえぬか。」
「畏まりました。」
こうして表向きの謁見は無事終わり、ここからが本番となる。
ーーーーーーーーーー
サダハルオー国王は
ヨミウリ侯爵と影部隊メジャー帝国潜伏班から宮殿消滅の情報を得ていた。
そしてナガシマ初代が夢枕に立つ不思議な体験をし、侯爵登城までに何度も緊急魔力伝書箱でのやり取りを重ねる。
タイセーの魔王島実効支配を聞いた国王は、貴族達を集め急遽謁見を行う事で、嫡男アレックスへの報奨を持ってメジャー帝国宮殿の件をヨミウリ家に報いる。
その後落ち着いたら、マクガフ公爵領の1部をアレックス男爵に与え、タイセーには魔王島をそっくり任せるのが国王の考え。
もちろんタイセーは何も知らないw
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