第17話 王国立ドーム学園初日②
午前9時
特Sクラス担任が入ってきた。
「バターズ先生おはようございます。」
モモの元気一杯な挨拶に
「……おはようモモ……すまんがもう少し声のボリューム下げてくれ。二日酔いの頭に響く……」
オリビア・バターズ
バターズ伯爵家の三女。10年前唯一の特Sクラス卒業生で学園1の美人だが、酒をこよなく愛しそれ以外の事に一切興味が無い。
モモが苦笑しながら小声で
「編入生の2人が今日から登校していますよ。」
「そのようだな。立ち姿にまったく隙が無い、そこの2人私が特S担任のオリビア・バターズだ。卒業まで5ヶ月足らずだが宜しくな。」
「タイセー・ヨミウリです。宜しくお願いします。」
「ミーナ・アウトマンです。宜しくお願いします。」
「ああ早速だが模擬戦をやるぞ。」
「えっ先生いきなり模擬戦って?演習場の使用許可も取ってないのに無理ですよ。」ビューラー君がバターズ先生を嗜める。
「そんな事を言い出したのは私ではない。S担のアルトゥーベだ。模擬戦使用許可も取ってるらしい。」
「そうなんですね、また
「ああガルシアパーラ侯爵家の跡取り息子、ブレットだ。同じ侯爵家のビューラーに対抗心を燃やしてるのに、今度は抑止力侯爵の三男が編入だろ。不正じゃ無いのかと騒いでるらしい。」
「ほお面白い。この俺を不正呼ばわりとはあの馬鹿、余程死にたいらしいなw」
ブレットと幼少期から面識のあるタイセー。
「ブレットと面識があるのか?」
「初等教育剣術大会4年生の部1回戦で瞬殺してやった。そしたらあの馬鹿泣きわめくだけならまだしも、小便でズボン濡らしてなw余程悔しかったんだろ、帰りに護衛騎士10人で待ち伏せしやがった。」
「子供とはいえ何という情けないことを、しかも卑劣だ。」
「護衛全員の両肩と両膝を叩き潰し、ブレットを真っ裸にして家の父上に身柄を渡した。」
「さすがですタイセー様」
「「「………」」」
「その後、父上がガルシアパーラ侯爵に決闘を申し込んだ。10歳の子供がやった事だが、護衛騎士10人は立派な成人。その騎士達の主人は貴様だろうとな。」
ビューラー
「それは5年前にガルシアパーラ侯爵領地の3割が、国王直轄地として没収された例の事件と関係ありそうだね。」
モモ
「ビューラー君知ってるの?」
ビューラー
「王族貴族のスペシャリストだからね。」
タイセー
「ああそれだよ。剣術でも魔術でもメジャー帝国や魔の森で年中最前線に立ってる、現役バリバリの父上。お役所仕事にかまけて鍛練を怠っているお腹ブヨブヨ貴族じゃ、同じ侯爵でも戦闘力じゃどうにもならないだろ。」
バターズ先生
「それで宰相にでも泣きついたか。」
タイセー
「ああ。兄上から聞いた話しだと、事の詳細を調べあげ全て把握した宰相は、決闘から逃げるような無様な奴は貴族の風上にも置けん。潔く戦え、出来ないなら国王陛下に嘆願書でも書くんだな。と脅しまくったそうだw」
バターズ先生
「えげつないが流石切れ者の宰相らしいな…それで国王陛下に直轄地として3割もの領地を渡し決闘を回避したと言うわけか。」
タイセー
「国王陛下から、直轄地にした領地の収益は全てヨミウリ家の軍事費にすると打診されたんだが、父上は領地等いらん決闘以外に解決方法は無いと譲歩案を蹴った。」
ビューラー
「そこで前国王様がガルシアパーラ侯爵領の王都側出入口に関所を作り、その管理をヨミウリ侯爵家に任せたんだよね。」
タイセー
「流石だなビューラー。これは王国でも宰相他数人しか知らないぞ。」
ビューラー
「これでも王国諜報部隊デービス侯爵家嫡男だからね。中等部入学してから現場仕事にも同行してるんだ。下っ端だけどなw」
タイセー
「流石の父上も前国王様には頭が上がらない。譲歩案含め関所管理も受けおって矛を納めた。
馬鹿の実家は王都への道を
バターズ先生
「ガルシアパーラ家は袋のネズミ状態ってことか。しかし"抑止力侯爵"と呼ばれるだけあるな。凄い戦略だ。」
タイセー
「父上は何れ必ず起きるだろう揉め事には、今から対応しておくのが常道だと、日頃から口癖のように言っている。なんせ跡継ぎがあれだからw
それにしてもあの馬鹿がSクラスってのが不思議だ。よく入れたもんだ。」
ビューラー
「それが12歳の儀式で火魔法・水魔法・風魔法の3属性を貰えたんだよ。トリプル持ちなんて高等部を含め学園に10人もいない。
タイセー
「へえそうなのか?元々あいつ槍術スキルが高かったから、攻撃型の3属性を授かればまあまあの戦闘力って事だな。まあ少しは骨があった方が殺り甲斐がある。即死されたんじゃ回復が効かなくて何度も殺せなくなるからなw」
「タイセー様、風魔法なら負けません。ヨミウリ家の決闘から逃げたくせに、今だタイセー様に逆らうゴミの討伐はこのミーナにお任せを。火や水を使う前に上下真っ二つにして、ガルシアパーラ領地の関所前に吊るしてやりましょう。」
言うが早いか立ち上がり、すぐにでも特Sの教室を出ようとするミーナ。
「2人とも何言ってるんですか。模擬戦で殺すとか、そんなのダメに決まってるでしょう。」
モモがおろおろしながらミーナに駆け寄る。
「まあ良い機会かな。ブレットと取巻き連中黙らせるには、実力見せといた方が早いから。じゃあ行こうか。」
ビューラー君も立ち上がる。
「2人も了承で良いなら、この書類にサインしてくれ。」
「「分かった。(分かりました。)」」
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学園初日から一波乱ありそうな気がしますがブレット・ガルシアパーラ侯爵嫡男、命の灯が消えようとしていた。
いや消すなよm(_ _)m
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