第18話 マクガフ陸軍不埒者VSタイセー・ユイナ・シミズ


 ガルシアパーラ侯爵家嫡男ブレット達との模擬戦のため、演習場へ向かうタイセー達だったが


 その時


『タイセー君聞こえる?』


 ユイナから念話が入る。


『どうした?』


『マクガフ陸軍にたちの悪い奴等がいて、監禁してる女の子達にちょっかい出そうとしてるのよ。今なら間に合うから殺ってもいいかな?』


『ちょっと待て、今すぐそこに翔ぶ。』


『時間停止』

 SP割振りで手に入れたスキル時間停止を使うと、文字通り世界中の時が止まる。

 ユイナとシミズに転移で合流、2人の時間停止を解く。


「はっ、これは何?誰も動いてない?」


「ユイナ動いているのは俺達2人だけだぞ?」


「なになに怖いんですけど。こんな事するのはタイセーだけよね。」


「まさかの時間停止か!!」


「それだ」の声と共にタイセーが姿を表す。


「わっ出た」


「光学迷彩?気配まで完全に消すとは…どこまで人外じんがいなんだ…」


「30分だけ時を止めた。これを使えるのは1年間合計で24時間だけだ。2人は解除したから今この世界中で動けるのは俺達3人のみ、あと人外言うな。」


「分かった。神と呼べばいいのか?」


「そうねシミズ。私もそう呼ぶわタイセー神様。」


「軽くディスってるよな?」


「だって昨夜だってそうじゃない。いきなり現れて収納に入れられ気がついたらマクガフ領都なんだもん。そんな事できるの神様だけでしょ。」


 昨夜の内にユイナとシミズの2人を、マクガフ公爵家領都カンサイのホテルに転移で送り届けていた:のタイセー君


「いきなりじゃないだろ。事前に念話したぞ。」


「ユキナの言うとおりだ。念話連絡の1秒後に現れ、じゃあ行くぞの一言で100km離れたマクガフ領だ。もう神と呼ぶ以外、俺達だって頭の整理がつかん。」


「まあ分かったが今まで通りタイセーで頼む。それで朝っぱらから女性を襲うなんて、不埒な馬鹿どもはそいつ等か?」

 無理矢理話しを替える。


「そうよ、見るからに気持ち悪いゴミ虫どもよ。」


「ゴミ虫にはマクガフの非道さをアピールさせるため、少し役にたってもらうか。」


「今度は何を見せてくれるんだ。」


「もう驚かないわよ、昨日から色々ありすぎて疲れたの。」


「全員光魔法の洗脳魔術をかける。」


「でも魔族に隷属化されてるんでしょ。」


「まさかとは思うが上書き出来るのか?」


「封印前、魔王の闇隷属化魔術がレベル100万あったらしい。」


「100万…比較する気にもならないけど、人間のスキルレベルってMaxが10なのよ。10万倍って事よね…」


「タイセー…どんな魔術でも上書きには最低2倍。思い通りにするには5倍以上のレベル差がいるんだぞ。」


「ああ楽勝だ」


「楽勝って……レベル500万……」


「シミズやめましょう……少なくとも私の宮廷魔道師プライドが崩壊してしまうわ。」


 とてもレベル1,000万とは言えなくなったタイセー。


「じゃあ始めるぞ8人か。まずは世界中の時間停止を解いてゴミムシどもを洗脳する。」


 ピカーーー真っ白に輝く光に包み込まれる8人の不届き者。

 3秒ほどで光が消滅すると、全員がタイセーに向かい跪いている。


「「「「「主様。何なりとお命じ下さい。」」」」」


「ああ、これからお前達に有難い言動を授ける。その通りに話し動くのだ、さすれば我の愛弟子の地位に1歩近付けるぞ。」


「「「「「あああ~なんというしあわせ~」」」」」

 ゴミムシ8匹が涙を流しながらタイセーを拝む。


「ゲッこいつらの目が気持ち悪い。」


「ユイナ気持ちは分かるがゲッて言うな。仮にも宮廷魔道師だぞ。」


「失礼しました…」

 2年も冒険者をやってるとはいえ少し恥じらうユイナ。


「いちゃつくのは2人きりの時にしてくれ。」


「いちゃついてなどいない。」


「な、なによタイセーのクセに。」


「意味がわからんが…では行け8人の我が僕たちよ。」


「「「「「ははあ~」」」」」


 8匹のゴミムシが領都カンサイの中心部にある中央市場へ向かった。


 ここは名前の通りマクガフ公爵領で一番大きい食品市場。

 肉、魚、小麦粉、野菜、果物、加工食品、パン、アルコール類、ソフトドリンク類、菓子等々…ありとあらゆる飲食物を扱っている。


 商人や飲食店等業者は勿論のこと、個人への販売も行っているため、常時4~5万人以上の人間がひしめいている。


 その市場の真ん中辺り。

 開けた場所に直径100m程の広場があり、一面に芝生が植えられベンチも多数設置。人々は中央市場広場と呼び、寝転がったり座ったりと人が絶えない憩いの場所。

 そこに8匹のゴミムシが現れデカイダミ声で話し出す。


「おい、聞いたか。一昨日若い娘3人が、レストランを出たところで拐われたらしいぞ。」


「あーー知ってる。何でも公爵家の執事と騎士達が連れて行ったとか」


「俺は大学生の男が5人、公爵家近衛兵に囲まれ、拐われたのを見たぞ。」


「見たのか!それは大変だ衛兵に伝えたか?」


「いやだって衛兵もいたぞ。その誘拐犯の中に。」


「なんだとーーーそれってマクガフ公爵が若者を拐ってるのか?」


「ああ俺達マクガフ家陸軍にも命令が出たらしい。」


「なんだと」


「若者を拐ってメジャー帝国に奴隷として売ったり、マクガフ海軍の船で魔王島に連れて行き生け贄にすると」


「ヤバイなそれ、俺はそんな事とても出来ない。今すぐ陸軍を辞める。」


「でも今辞めたら近衛兵に連行され殺されるぞ。」


「どうしたらいいんだーー」


 このような内容の会話と言うより悪事の暴露だが、それを大声で話してるのがマクガフ陸軍の軍服を着た兵士たち。

 説得力十分すぎてwそこにいた多くの市民により、あっという間に領都中に噂が広がる


「何と言えばいいのかしら。みんな引き込まれる様に聞いてたわね。」


「三文芝居なのに現役陸軍兵士の軍服は効果抜群だな。」


「あれを学校、病院、役所前広場等で1日中やらせる。仮に捕まって拷問されても何一つ喋らないって言うより喋れない。俺の事を神だと信じてる奴等だからなw」


「ほんとゴミムシどもが役に立ったわねw」


「ある意味最強兵士の8人だなw」


「じゃあ俺は学園に戻る。2人は引き続き奴等の行動を見届けてくれ。手は出さないように、念話くれれば直ぐ転移してくるから。」


「了解よ。」「分かった。」


「あっこれ食べて見てくれ。来年から侯爵領で売ろうと思ってるんだが、感想を聞きたいんでね。」


 タイセーはユイナとシミズにMのマーク入りビッグマックを二つ渡す。フライドポテト&コーラも付けて。


 その後すぐにユイナから念話が入り、追加で10セット、フライドポテトは20個今すぐにお願いと言われた。

 ブレットとの模擬戦を優先し無視するタイセーだった。

 やはりMは強いっすm(_ _)m


 ーーーーーーーーーー


 闇隷属化魔術がレベル100万はあくまでも魔王のステータス。それでもタイセーの1/10だが。


 カブレラ統括は当然魔王より少ないレベル10万です。

 とは言え人族とは比較にならないほどの高レベルですがm(_ _)m

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