第16話 王国立ドーム学園初日


「中等部3-特Sクラス、ここだな。」


「お待ち下さいタイセー様。ミーナが露払いを致します。」


「ミーナ常に探知は作動させている大丈夫だ。それとここは戦地ではない学園だぞ、少し肩の力を抜け。」


「しかし万が一にも不逞の輩がタイセー様に無礼を働けば、ミーナが成敗しなければなりません。」


「殺気がダダ漏れだ…そういうとこだぞミーナ。学園内では自分の身を守る以外の武力行使を禁止する。もし従えないならオオテマチ学校に戻す。」


「そんな…」


「返事は?」


「ううう…分かりました。」


 明らかに不満な表情を隠そうとしないミーナに止めを刺すタイセー


「そういえばアレックス兄上は、すぐに武力を使う人間を嫌う傾向があったな。」


「タイセー様ミーナは二度と武力は使いません。絶対にです。」


「極端なんだよバカタレ。兄上はそんな一面だけで人を判断しない。もういい行くぞ。」


【3-特Sクラス】

 中等部3年の特別Sクラス


 通常はSを筆頭にA・B・C・D・E(各50人)の6クラス。

 6月と12月に座学と戦闘術(魔術コースor剣術他コース)の試験を行い、その総合得点でクラス分けが行われる。

 年2回の入れ替えテスト。

 300人の学生達はランクアップを目指し、目の色を変えて挑む。


 特別Sクラスとは13歳の入学試験で戦闘術トップ10の生徒。

 尚且つその10人で座学満点500点中480点以上をクリアした者のみ。

 例年1人いれば良いほうで、該当者無しの場合がほとんど。

 1番多かった年は35年前の5人で黄金世代と語り継がれている。


「まだ誰もいないな。特Sは俺達2人含め4人だけらしいがな。」


「タイセー様と私は編入試験ですから、2年前の入学試験で2人しかいなかったんですね。」


「複数人合格は10年ぶりらしいぞ。一昨年は紫陽花アジサイ姉貴1人だけ。イチロー兄貴は座学が10点足りなくてSクラスに回された。去年今年は0だそうだ。」


 その時ドアが開いて小柄な眼鏡っ娘が入ってきた。

「お、おはようございます。」


「おはよう」「おはようございます。」


「あ、あの~特Sに今日から男女2人の生徒が編入するって聞いてました。もしかしなくてもそうですよね?」


「俺はタイセー・ヨミウリだ。もしかしなくてもwそうだ。」


「私はミーナ・アウトマンです。もしかって言い方面白いですね。」


「すみません、やっぱり御貴族様ですよね。私はモモです。実家は王都でピザのフリーマンを営んでます。」


「あーあの美味いピザフリーマンか。王都のあちこちにあるよな?」


「はい先月オープンしたお店で100店舗目です。」



「あれだけ美味いんだ100店舗も納得だな。それとな特Sクラスの条件をクリアするのに貴族も平民も関係ないからな。」


「そうですよモモさん。タイセー様は別ですが、私王都は初めてなので色々教えて下さい。」


「はい、私も女性のクラスメートは初めてなので嬉しいです。それで…あの~ヨミウリって"抑止力侯爵"様ですよね?」


「ああ代々そう呼ばれてるな。」


「王国の盾、守護神一族。高等部の三人様と兄弟なんですね。」


「そうだが、ここは学園だ。様付けする必要はないぞ。」


「え~とミーナさんがタイセーと」


「ミーナはタイセー様の護衛兼専属メイドですから、様を付けるのは当然です。」


「そういう話しは今はいい。それより授業開始5分前だが、もう1人は?」


「彼ならそろそろ来る時間ですね。」


 最後の1人が入って来る。


「おはよ~ビューラー君。」


「おはようモモ。おっ!この2人か?特Sの編入生って。」


「そうだよタイセー様とミーナさん。」


「タイセーだ。クラスメートに様はいらないぞ。」


「ミーナです。タイセー様に様付けしていいのは私だけなので。」


「あーと、タイセーにミーナね抑止力侯爵と寄り子のアウトマン男爵かな?」


「ほお詳しいな。」


「侯爵家はまだしも、実家の男爵家まで知ってるのは凄いですね。」


「ビューラー君の趣味だもんね。」


「そうだよセリーグ王国、瑞穂王国、メジャー帝国の王族や貴族の歴史や家系図を調べるのが唯一の趣味なんだ。」


「「………」」


「それでよく特S入れたなって顔してるね。」


「ビューラー君こう見えて魔力Maxなんだよ。」


「いやそう言うモモだって同じじゃん。」


「ほお魔力Maxって10万もあるのか?」

 とっくに光探知で鑑定し、ビューラーがデービス侯爵家嫡男である事も把握しているタイセー。


「それは凄いですね2人とも」

 風剣姫もMaxですw


「特Sが同時に4人なんて凄いね。タイセー、ミーナよろしく。」


「こちらこそ宜しく頼む。」


「宜しくお願いします。」


 後は担任が来れば特S勢揃いだが、『ほお5年ぶりに会うがあの馬鹿、まったく変わらんな。また小便漏らさなきゃいいがw面白くなりそうだw』

 何やら探知してニヤニヤしているタイセーでした。



 ーーーーーーーーーー



 特別Sクラス

 35年前5人の黄金世代。


 総合1位

 現国王のサダハルオー・セリーグ12世。戦闘術2位、座学唯一の満点で1位。


 総合2位

 タイセーの父ヨシノブ・ヨミウリ侯爵。戦闘術断トツ1位、座学1点差で3位。


 総合3位

 戦闘術3位、座学辛くも2位のマシソン皇太子専属執事。


 総合4位

 戦闘術、座学共に4位

 瑞穂王国からの留学生で現在の瑞穂王国国王。

 辰徳タツノリ・瑞穂

 タイセーの母親、カエデの兄なので叔父にあたる。



 総合5位

 戦闘術10位、座学480点ぎり通過の5位

 あのデストラーデ・マクガフ悪役公爵。


皆当時は13歳。中等部卒業までの3年間、5人全員特別Sクラスから落ちる事無く高等部へ進学したが、マクガフだけは高等部を1年で辞め、公爵領の高校へ編入し領地へ戻った。

 マクガフの父親と王族の仲が益々険悪になったからだとの噂が当時流れている。

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