第15話 ヨミウリ侯爵家王都屋敷・朝稽古

 王国暦245年11月


「メジャー帝国は大騒ぎでパニくってるな。特に宮殿跡地は阿鼻叫喚状態、ジーターも大人しくなってる。」


 光探知で今朝の帝国を確認するタイセー。


「どれ収納遠隔操作で冷え冷えのペットボトル2L・3本位出しておくか。ほれ」


 結界内で1人俯くジーター皇帝に飲料水をサービス。


「3日位飯抜きでも人間死なないが、水が無いと持たないからな。後はトイレか、よし大サービスだ。」


 令和日本の最新型高級トイレも出し、使い方説明Androidも1体付けてやる。


「壁ドア付きの個室だから人目も遮られて安心だろう。但し用が済んだら消滅する機能をセットだ。じゃないとトイレから出て来ないだろうしな。お昼に牛丼特盛&豚汁も出してやるよ、1日1食ありがたく食えよ。」


「マクガフ公爵は派手にやらかしてんな、カブレラめ今だけ喜んでろ。全て録音録画してるから動かぬ証拠だ。」


 コンコン!!

「タイセー様、朝ですよ」


「あー開いてるぞ」


「失礼します。おはようございますタイセー様。」


「おはようミーナ。その格好は朝鍛練やる気満々ってとこだなw」


「タイセー様の護衛として当然です。」


「ははは、よし行くか」


 2人は屋敷に隣接された1ヘクタールの屋根付き鍛練場に入る。



 エバン・ストーン

 第5近衛騎士団・王都部隊隊長


 ダニエル・グラスノー

 ヨミウリ第3近衛騎士団副団長


 2人を筆頭に騎士団150人が既にストレッチを始めていた。


「「おはようございますタイセー様・風剣姫」」


「「「「「おはようございます!!」」」」」


「「おはよう(ございます)」」


「まだ5:30なのに早いな。」


「久しぶりにタイセー様と3本勝負ができると思うと4時に目が醒めてしまいましたw」


「ストーン隊長、人間歳を重ねると早起きになるらしいぞw」


「ほおタイセー様まだ40歳の私を老人扱いとは、ますます勝負に力が入りますな。」


「許せ冗談だwどれ6時の稽古前にやるか?部屋でストレッチは済ませている。」


「望むところです。」


 タイセー幼少期の師匠エバン・ストーンが模擬戦用の木剣を中段に構える。

 タイセーは深く沈み込み居合抜きの構えで対する。


 そう、ヨミウリ侯爵家の剣とは西洋騎士の剣ではなく、初代マツイヨミウリから続く日本刀カタナを使用している。


「始め!!」

 審判のグラスノー副団長が合図を出した。


『ぐう!!まったく隙がない、うかつに踏み込んだら殺られる』

 微動だにしないタイセーの低い構えに、剣の達人ストーンも気圧される。


「行くぞ隊長」

 わざと言葉を発し自分の攻撃タイミングを知らせるタイセー。

 次の瞬間「スッチャッ」

 ストーンの模擬戦用皮鎧が横一線に裂ける。

 シーンと静まり返る鍛練場


「参りました!!」

 余りの腕の違いに、残り2本を放棄しタイセーに歩み寄る。


「お見事ですタイセー様。皮鎧を木剣で切り裂くのも驚きですが、その剣捌きまったく見えませんでした。」


「いいのか?もう1本出来るぞ。」


「いえ、見えない剣筋を追うのは不可能。さすがに人外じんがいの相手は実力が開きすぎて稽古になりませんw」


人外じんがい言うなw」


 騎士団隊員

「おい、今の見えたか?」

「まったく…」「音だけ聞こえた」

「木で皮鎧って切り裂けるのか?」

「そんなこと他で言うなよ。馬鹿だと思われるぞ」

「あれ真剣だと隊長上下真っ二つか…」

「「「「「………」」」」」



「タイセー様、見えない居合抜き素晴らしいです。」


「ミーナ1本やるぞ。身体強化と風魔法使って、全力でかかってこい。」


「宜しくお願いします。」



 騎士団隊員

「天才剣士タイセー様と風剣姫」

「うわぁ~こんな近くで見れるのか」

「近いと危なくないかな…」

「かすっただけで腕落ちるぞ…」


 全員が少しずつ後ずさる。


「光防御結界張っといたから心配するな」


 タイセーの言葉にグラスノー副団長は

「タイセー様、いつの間にその様な魔術を?」


「ああ今まで隠してただけだ、剣の修行の邪魔になるからな。」


「そ、そうですか…」


 騎士団隊員

「おい聞いたか魔術も使えるって」

「天才剣士に魔術、もう誰も勝てないだろ」

「決めた、俺はタイセー様に一生ついて行く」

「俺は生まれ変わってもついて行く」

「なんなら男だけど嫁になる」

「真っ二つにされるぞ」

「本望だ」

「「「………」」」



 ミーナが下段の構えでタイセーに対する。


「ほお何時も上段のミーナが下段とは珍しいな。実戦で使うには余程振りが速くないと、頭と喉を狙われるぞ。」


「ずっと練習してきた風魔法との複合です。行きます!!」

 風剣姫の鋭い踏み込みから、下から上へ模擬戦用に刃先を丸めたエアカッターが放たれた。


「遅い」

 木剣でそれを受けるのでは無く後ろへ反らす。と同時に右手1本でミーナの喉元に突きが入る。


「ボコッ」

 木剣の根元で辛うじて剣先を下に反らしたが、タイセーの突きはそのまま構わずミーナの左脇腹を捉え、下りてくる相手の剣を躱しながら後方に回り込む。


「うっ!!」

 衝撃を和らげるため何とか半身を回転させたミーナだが、その首にタイセーの木剣がピタッと添えられた。


「ここまでだな」

「参りました…」


「真剣だと今頃左脇腹に刺さっている。真下に反らすのは模擬戦でしか有効じゃない。自分の体を回転させながら、剣先を身体から離すように反らすんだ。」


「はい精進します。」


「だが踏み込みとすり上げのスピードは悪くなかったぞ。その証拠に騎士団隊員達を見てみろw」


 タイセーに言われ周りを見ると隊員全員が口を開けて固まっていた。


「よし今日は学園初日だから俺達2人はここまでだ。邪魔したな」


「御二人とも流石の速さ、お見事でした。明日からも宜しくお願いします。」


「ああそろそろ6時だ、姉上が来るだろ。逃げるぞミーナ」

「はいタイセー様。明日からは最後まで稽古しましょう。」


 紫陽花に捕まる前にソッコーで逃げるタイセーでした。


 ーーーーーーーーーー


 ヨミウリ家朝稽古での

 ストーン隊長、ミーナとの模擬戦でタイセーは剣術スキルも身体強化も使っていません。

 そんなもの使ったらこの世界の生物は全て瞬殺されます。


 あっでも

 種族:半神 レベル3億 ですからスキル使わなくても瞬殺してしまうw

 女神と剣神の加護のおかげで

 自分の力を精密にコントロールしています。



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