第5話 大晴とタイセーの別れ


『今日の夕方には王都侯爵屋敷に着くよ。それじゃあ僕の役目はここで終わり。ありがとうね大蔵大晴おおくらたいせいさん。最後に両親や近衛騎士団と話せて嬉しかった、感謝しています。』


『……お前……本当にいいのか?自分の体なんだから、たとえ10%程でも意識を置いといた方が、俺は全然気にしないぞ?』


『ううんそれは違うよ。女神様から聞いたでしょ、元々この体は僕の意識って言うか"魂"ではこれ以上成長しないんだよ。それでは魔王を倒せない。』


『ああ確かに美人女神ビューティーさんが言ってたな。

 大晴を転生させたのは5年後に魔王バースの復活が見込まれるからだと。』


『うん。245年前にナガシマ・セリーグ初代国王とマツイ・ヨミウリ初代侯爵が魔人島に封印した魔王バース。本当は討伐したかったんだけど人類最強の2人でもそれは無理だった。』


『それを俺にやってほしいと美人女神ビューティーさんには加護とスキルポイントを貰ったが、だからってお前が居なくなるのは納得してないぞ。』


『分かってるでしょ。このまま僕がいるとスキルポイントの割り振りが出来ないんだよ。それが可能なのは純粋な転生者の"魂"のみ。つまりタイセーの体には大蔵大晴しか存在できない。』


『………今でも十分に強いだろうに…』


『駄目だよ、このままでは魔王には勝てない。大晴さんが負けたら王国や瑞穂の民だけじゃなく、フェンウェイ・パーク大陸全てが魔王の物になる。たとえ運良く助かっても待ってるのは生き地獄。女神様が直接干渉できない以上、大晴さんに人類の未来がかかってるんだよ。』


『………』


『騎士団護衛50人とミーナがいるから転移使わず馬車移動してるけど、王都に着く夕方までにスキルポイント割り振りしなきゃ。』


『タイセーの体から完全に消えたらお前の魂はどうなるんだよ…』


『それは大丈夫。今回は魔王討伐のための強引な転生手段をとったから、僕の希望を聞いてくれたよ。』


『希望?それは初耳だな。どこに転生するんだ?』


『令和いや平成の日本』


『はあ日本だと?』


『うん東京の江東区ねw』


『なっ!!お前まさか』


『うん平成時代の中学3年生大蔵大晴くんに入る。』


『まさかの入れ替わりかよ』


『女神様が時空間神に頼んだんだって』


『そんな事まで出きるなら魔王1匹倒してくれりゃいいのに』


『そういった干渉は無理なんだってさ。さてと僕はもう行くね、日本の下町で美味しい物たくさん食べよっと。あっ初恋の相手、み~ちゃんに伝言あるw』


『こら人がしんみり してるってのに、何でそんな事までわかるんだよ!!』


『そりゃあ僕がこれから中3の大蔵大晴になるから当然でしょ。じゃあね魔王の事お願いします。』


『プツン』


『あっ!!おいちょっと待て!!コラ!!』


 元々のタイセー・ヨミウリの魂は完全に平成日本へ転生し、残された身体には大蔵大晴が残った。


「うん…これは!!身体中の細胞の勢いみたいなのが今までと全然違う。力がみなぎるというか、俺は本当に人外じんがいになっちまったのか?」


 侯爵家の豪華な馬車の中で、突然立ち上がりストレッチを始める。


「!!タイセー様。瞑想は終わったのですか?」

 ただ1人タイセーと同じ馬車に乗っている護衛のミーナが驚いて声をかけた。


「うん、あっああー終わった。後どれくらいだ王都まで。」


「どれくらいだ?あっはい夕方には着くそうですから、3~4時間ほどかと。」

 タイセーの口調の変化に違和感を感じたミーナだったが、馬車移動の疲れとストレスから来るものだろうと気にしなかった。


「そうか…ミーナ悪いがもう少し瞑想を深めたい。王都到着まで1人にしてくれ。」


「えっ!!私はタイセー様の護衛です。屋敷内ならいざ知らず離れるの…」


 ミーナの反論をピシャリ制止する

「頼む、外に出ろとまでは言わん。御者ぎょしゃの隣でいい。これは命令だ」


「うっ…わかりました……」


 御者隣の席に移動するミーナ


『なんかタイセー様の雰囲気が大人の男になってる。男子の成長は凄いわ。前のタイセー様も可愛くて保護欲そそられたけど、今の方が私は良いかも♡』


 ミーナさん中身が大蔵大晴のタイセー様にようです。


 **********


 馬車内客席で1人になったタイセー

『ステータスオープン』

 口に出すのが恥ずかしくて脳内で呟く。


名称:タイセー・フォン・ヨミウリ15歳

種族:人間? レベル 1億

職業:セリーグ王国ヨミウリ侯爵家三男

体格:身長180cm 体重72kg

ステータス:(人族Max10万)

体力:1,000,000

魔力:∞(無限大)

速さ:1,000,000

パワー:1,000,000

知能:1,000,000


スキルポイント:女神様加護により10億

*****

武術スキル:(レベル1~10)

剣術1,000

*****

魔法:(レベル1~100)

空間魔法10,000

光魔法10,000

身体強化魔法10,000


スキル:(レベル1~10)

収納10,000

転移10,000

光防御結界物理10,000

投網バインド10,000


称号

女神の加護

複合魔術マスター

剣神の加護

*****

ギフト

令和版ショッピングモール10,000

*****

「まずはスキルポイントを使って魔力以外のステータスを1,000万にするか。今100万だから900万✕4個で3,600万消費っと。」


 ステータス値が爆上げする。

「うっおおおおお!!すげぇーなこの感覚、空も飛べそうだ。」


 すると脳内にアナウンスが流れる。

『人間?から半神へと種族が変わりました。』


『……やる前に言えよ…半神って何だよ…』


『失礼しました。今後気を付けます。』


『てかとの念話に似てるけど誰なんだアンタ?』


『私は女神様の使徒College cutie と申します。以後お見知り置きを。』


『カレッジって大学生なのか?しかも自分でキューティーって言うか普通』


『使徒業界1のキュートさを誇っております。』


『使徒業界って…まあいい…魔王バースを倒すにはどれぐらいのレベルになればいいんだ?』


『封印前にナガシマ・セーリグ国王様が鑑定した240年前のデータならございます。開示しますか?』


『ほおそれは助かるぞ、頼む。』



『こちらです。』ドーーン!!


 **********


名称:魔王バース 5,750歳

種族:魔人 レベル1億

職業:第13代魔王

体格:身長10m 体重10t

ステータス:(人族Max10万)

体力:20,000,000

魔力:20,000,000

速さ:20,000,000

パワー:20,000,000

知能:1,000,000


*****

武術スキル:(人族レベル1~10)

格闘術100,000

棍棒こんぼう術100,000

*****

魔法:(人族レベル1~100)

闇魔法1,000,000

飛翔魔法1,000,000

身体強化魔法1,000,000


スキル:(人族レベル1~10)

闇転移1,000,000

闇防御結界物理1,000,000

闇防御結界魔力1,000,000

闇自動回復体力1,000,000

闇自動回復魔力1,000,000

刺蔦バインド1,000,000

闇隷属化1,000,000

闇死人操り1,000,000

マッハ飛行1,000,000


称号

魔神の加護

闇魔術マスター

6,000歳復活の日


**********


「なんだよこれ……」

 魔王の想像を絶するステータスに思わす呟きを漏らすタイセー


「どうしました!!タイセー様!!」

 タイセーの護衛に全神経を集中するミーナは、瞬時に御者隣席から馬車内に戻った。


「ミーナ…呟き1つに過剰反応しすぎだ…」


「うっ…す、隙を作らぬよう気を張っていたのです。」

 少し恥ずかしくなり赤面しながら言い訳する。


「それは良いが心に余裕を持たねば、いざというときに緊張の糸が切れ綻びが出るぞ。」


「すみません精進します……」


「ああ気にするな席に戻れ、まだ瞑想途中だ。」


「はい…」

 御者隣席に戻るミーナを見ながら


『あぶねぇーつい声に出しちまった。サクサク割り振りするか。最低でも魔王の持つレベルと同等かそれ以上にしないと。新しく欲しいスキルもあるし、足りるかなスキルポイント?』


『使徒業界1大人の魅力溢れた淑女の私が、AI機能で割り振って見ましょう。それを基には細かい手直しをしてみては如何でしょうか?』


『それは便利だな、にしても何時からラブリーに改名したんだw俺の事もマスターになってるし。まあいいけど宜しく頼む。』


『かしこーありよりのありで』


『ギャルかよお前…』


『ラブリー進化中、王都で刺激を受ければ令和ギャル語取得します。』


『そもそも令和じゃ渋谷にすらギャルいねえぞw』


『ではオリジナルで』


「いいからサッサッとAI割り振りしろ!!」


 ヒュン

「どうしました!!タイセー様!!」


「…なんでもない…」

 相変わらず速すぎるミーナでした。

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