捕まった子犬、バーテンダーに愛される

第66話

後日、私は色んな人から”婚約者”について聞かれることになる。


 もしかして、琢磨さんと新垣さんに忠告するためだけじゃなくて、会社の人たちにも公認で知らせるために、会社の前を選んでプロポーズしたのかな…?なんてね。


 三浦さんの策略はわからないけど、私には三浦さんという婚約者がいて、今年中には結婚するということが皆の知っている事実となり、琢磨さんたちからも接触は一切なくなった。



 一度だけ、新垣さんと廊下ですれ違うときに「誤解してひどいことして、ごめんね」と謝ってくれたのが最後だった。


 あれ以来、いつもと変わらない日常に戻り、琢磨さんと新垣さんは無事に入籍して仲良くやっているみたいです。


 わたしも三浦さんと結婚式場を見に行ったりと、先に入籍してから落ち着いて結婚式をやるために調整中。



 バーテンダーって儲かるのか疑問だったんだけど、オーナーの経営術と三浦さんの売上の良さ、あとは株とかもやってるらしくて、宣言通り、わたしは専業主婦になっても大丈夫そうです。


 

 三浦さんは琢磨さんと一緒の職場が正直嫌なのかな?って思ったんだけど、あんまり気にしてない様子で、由香とまだ一緒にいたいし仕事も好きだから続けることにした。



 元々三浦さんの家で住まわせてもらっていたし、仕事も続けていて、RedMoonにも顔を出しているし、婚約して変わったことは左手の薬指に指輪がついていることぐらいかな。









「んっ…まって…!!」



 仕事を終えて自宅に帰って来たばかりでシャワーも浴びてないのに、仕事が休みで家にいた三浦さんは私を待ちかまえていたように寝室まで担ぎあげてベッドに投げ飛ばした。



「シャワーも浴びてない…!」


「どうせ濡れるのに意味なくね?」


「趣旨が違う…!!」


 私の訴えは聞いてもらえず、覆いかぶさるように上に乗った三浦さんに口を塞がられたら、私はもうこの欲に溺れるしかないんだ。

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