第60話

バイクの前まで来ると、三浦さんの綺麗な顔はヘルメットの中に消えてしまった。


 準備ができた三浦さんに手招きで呼ばれて目の前まで近づくと、スポッとヘルメットをかぶせてられる。


 そのまま両脇を抱えられてバイクに乗せられると三浦さんもバイクにまたがり、エンジンを始動させて走り出した。



 初めて乗るバイクに少し戸惑ったけど、三浦さんがいるから怖いとか思うことはなかった。


 スピードを上げる前ににしっかり繋ぐように持って行かれた私の両手は、三浦さんの腰にちゃんと巻きついている。



 三浦さんに守られらながら見える景色は、いつもと同じ通勤路なのに新鮮で面白かった。


 体が風を受けるのも気持ちいい。


 いい気分転換になったバイク通勤のおかけで、今日の仕事もいつもどおりこなせる気がする。






 

 

 

 会社に続く階段近くで下ろしてもらった。



「三浦さんありがと。……頑張ってくるね」


「……真穂なら大丈夫。19時に迎えにくるから」


「うん!いってきます」


 ヘルメットのバイザー越しに見える瞳を見つめて、しっかりした声で挨拶をすると、会社に続く階段に向かって歩き出した。


 少ししてから、バイクが走りさる音が耳に届いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る