第43話

色んな感情がぐちゃぐちゃになってこみ上げてくる。


 三浦さんにこんな乱暴なことされたことない。


 三浦さんは、いつも私が気持ちいいように、大事に扱ってくれる。


 不快感を与えられたことも、嫌悪感を与えられたことも、一度もない。




 体が覚えている三浦さんとは違う手が私の体に触れる。


 気持ち悪さで吐き気が上がってくる。


 声を出したくてもくぐもった情けない声しか出せない。



 私の胸に触れる手が、全然違う。


 涙しか出て来ない私の反応を琢磨さんは気にする様子がなく、寒さで主張するそれを口に含んだ。


「っ――――!!」


 ねっとりした感触に体が悲鳴を上げる。


『気持ち悪い――――!!』



 琢磨さんの舌が気持ち悪く、いつもなら濡れる蜜口が乾いたままなのがわかる。


 この人は何もわかっていない、何も見えていない。


 私がどんな反応をしているのか。


 私の体がどうなっているのか。


 わからないんだ。


 この人にとって私は、ただ欲求を満たすだけの体で、私のことなんでどうでもいい。


 ずっと、きっとそうだった。


 三浦さんに愛されるまで、私はそれが当たり前のセックスだと思って気付かなかった。


 三浦さんに上書きされた体が、琢磨さんの自分本位なセックスで汚されていく。



 自分の欲望のままに胸を愛撫しても一向に濡れる気配がない。


 琢磨さんの指が蜜口に触れるけど、濡れた様子は一切感じられない。


 一度動きを止めた琢磨さんに諦める選択肢はあるのかと思ったのに、私の足を開かせ蜜口に顔を埋めた。



 私はもう、諦めていた。


 いくら抵抗したってこの人は気づかない。


 欲望を満たしたいだけのこの人は、私が傷ついていることに気づかない。


 全部終わったらすぐに逃げよう。


 そして、三浦さんに全部話して謝ろう。


 私が悪かったこと、すぐに相談しなかったこと、こんなことになったこと、全部全部謝ろう。



 乾いた蜜口を舐める琢磨さんの舌の感触が直に伝わって背筋がぞくぞく身震いした。


 濡れてないせいで余計に舐める感触がわかる。


 気持ち悪い、気持ち悪いのに終わらない。


 無理やり指を入れようとするが、きつく閉じられた中は琢磨さんの指を拒絶して抵抗してくる。


 私も痛みで顔がゆがむけど、とにかく早くこの行為が終わることを願って我慢した。


 早く終わって、早く終わって…!!



 

 どんなに頑張っても濡れないことを理解した琢磨さんは私の体制を変えて、後ろ向きになった私の腰を掴んだ。


 スーツの中から出したゴムをつけたそりあがったそれを蜜口に押さえつける。


 私は濡れてない蜜口にこれから抑え込まれる痛さに目をつむる。


 怖い、怖い怖い……!!



「――――っいやあ…!!」

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