第42話

――――バンッ!!


 手に持っていたバッグで思いっきり琢磨さんを叩いた。




「……最低っ!!」




「…ってえ…」



 バッグの中身が少しだけ外に飛び出た。


 バッグの金具部分がちょうど琢磨さんの顔に当たったようだけど、爆発した私の気持はそれを気にする余裕もなかった。



「婚約者、いるんですよね!?婚約するんでしょ!なんで、なんでこんな最低なこと言えるんですか!いい加減、私に付きまとうのはやめてください…!!」



 一生懸命琢磨さんに掴まれた腕を取り戻そうとするのに、一段と強くなった琢磨さんの手はそれを許してくれない。


 無言で私の抵抗を見ていた琢磨さんが小さな声でつぶやいた。



「ふざけんな……真穂は、俺のだろ」



「…え」


 

 聞こえてきた声に反応して顔を上げると、怖い顔をした琢磨さんが私を見降ろしていて、次の瞬間、掴んだ腕を強い力で引っ張りながら歩きだした。


 大きな声で助けを呼ぼうと考えたけど、こんな場面を見られたときに新垣さんに今度は何をされるのか考えてしまい、躊躇している間に近くの会議室に放り投げられた。



 いきなり床に投げられたことにびっくりして体を起こすと、扉にICカードでロックをかける琢磨さんが暗い視界の中でも確認できた。


 私は扉から離れて近づいてくる琢磨さんに恐怖しか感じなくて、足からパンプスが脱げるのも気にせず走って逃げた。





「――――あっ…」




 身長の高い琢磨さんの長い腕にすぐに捕まり、抵抗をする前に床に押し倒された。


 うつ伏せになって逃げ出そうとする私のトップスを掴んで、琢磨さんは躊躇うことなく引き裂いた。


 露わになる下着に急いで胸元を両手で隠す。


 


 ガタガタガタガタッ



 震えだす体を止めることができない。



 怖い、怖い、助けて…助けて…

  


 琢磨さんは無言でネクタイを外すと、必死に抵抗をする私の腕を頭の上でまとめて、逃げられないようにネクタイできつく縛りあげて片手で簡単に固定した。



「いや…嫌…!やめて!やめて!」


 恐怖から涙がとまらず出てくる。


 琢磨さんには何も響くことなく、胸のふくらみに唇を寄せる。



「―――んッ!!!」



 三浦さん以外の唇が触れる不快感と小さな痛みで体が拒絶しよと後ずさりする。


 そんな私の精いっぱいの抵抗に何の力もなく、いくつも小さな痛みと共に私の胸にキスマークをつけていく。



 気持ち悪い、…助けて……三浦さん……



 琢磨さんの指が背中に回る気配に気づいて、諦めずに抵抗を繰り返すが、動けないように足の間に琢磨さんの足が入り込み、簡単にホックを外されてしまった。


 一瞬の動揺を見逃さなかった琢磨さんは、私の下着を足から引き抜き、嫌がるわたしの顔を抑え込み、口の中に入れ込んだ。

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