第24話

「真穂、誰の指かわかる?」


「……っ」


 わかるよ。


 もう間違えないよ。

 

 こんな気持ちのいいセックス初めてだった。


 三浦さんの指も舌も唇も、全部体が覚えてる。


「三浦っさんの…指…ん、ん…っ」


 ”気持ちいい”

 

 そう言いたかったのに、私の口を三浦さんのキスで塞がれ言葉は三浦さんの口の中に消えていった。


 絡まる舌に飛びそうになる理性を必死に掴まえているのに、三浦さんは指の刺激を強くしてすぐ上で主張するそれを親指で強く押し上げる。




「―――――ッ」




 必死に保っていた理性は簡単に吹き飛び、三浦さんの足に支えられた下半身はびくびくと震え、喘ぎ声は三浦さんの舌に絡め取られて出せなかった。


 脱がされて足首に絡まる下着を元に戻され、私を支える三浦さんの足がなくなると、落ちるように床に座り込んだ。


「はあ…はあ…っ」


 荒い呼吸を必死に整えてると、視線を合わせるように三浦さんがしゃがみこむ。


「ひ、ひどいよ…」


「だって、真穂が可愛いから」


 悪びれる様子なく楽しそうな三浦さんにそれ以上何も言えず、お店でこういうことしちゃったのも恥ずかしかったけど、それ以上に感じてイッちゃったことが一番恥ずかしくて、三浦さんを責められなかった。


「…今日、早く帰ってくる?」


「………」


 三浦さんの顔がきょとんとなって固まった。


 初めて見た三浦さんの動揺にびっくりしたけど、もう口にしちゃったから撤回しない。


「早く、帰ってきてほしい。一緒にいたい、三浦さんと」


「……セックスする?」


「する、三浦さんとセックスしたい」


 

 ――――ふわっ


 また三浦さんの香水の匂いが鼻を掠めたと思ったら、抱き寄せるように抱きしめられていた。


 まだ体が動かしにくい私は三浦さんの胸にもたれかかるように腕を回した。


「今日素直だね」


「いつも、です…」


「すぐ帰るから、待てる?」


「うん、絶対待ってる。だから、早く帰ってきてね」


「……真穂、これ以上煽んないで……」


 耳元でこぼす三浦さんの声は珍しく切なげだった。

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