第6話

「本当にしたんですか…?」


「覚えてない?」


「……はい」


「真穂の左の太もも付け根に小さなホクロと、腰に三角形のほくろがある」


「ななななな…!」


「あと、真穂はバックから突かれるのが好きらしい。元カレの趣味?」


「もう信じるからちょっと待って!」


 顔が真っ赤になっているのがわかるほど動揺していた。


 次々に三浦さんが話すことは全部合ってるし真実!だけど、刺激が強すぎるので待ってほしい!


 み、見られたってこと!?セックスしたってこと!


 私、何にも覚えてないのに…?


「真穂が昨日自棄酒して店でつぶれて、同棲している彼氏のところに帰れないだろうからってオーナーが先に上がらせてくれたから真穂を連れて帰って」


「なんでこんなことに…?」


「…真穂が、琢磨って泣くから」


「え……」


「夢でも元カレに泣かされてんのにムカついて、イライラして。キスしたら元カレと間違えて応えてきたからそのままセックスした」


「なんで、そうなるの!三浦さんのバカ!」


 私は床に散らばった服をかき集めてトイレに駆け込み閉じこもった。


 どうしようどうしよう!どうしてこうなっちゃうの!


 昨日に引き続き今日まで取り返しのつかないことになっちゃって、もう琢磨さんのところに戻れないかもしれない。


 不安で泣きそうになっていると、トイレのドアをノックする音に三浦さんの声が続いた。


「真穂、まだ6時半だからシャワー浴びて支度すれば会社間に会おうから。洗面所にタオルとか用意した。メイク道具とか持ってる?」


「お直し程度のコスメならあると思う…」


「簡単なスキンケアと足りないコスメ買ってくるから、俺が出たらシャワー浴びに行けよ」


 そう声をかけて、三浦さんは本当に出かけたみたいで、鍵を閉めて歩いていく足音が聞こえた。


 私はそーっと扉を開けて一応周りを確認してから、間取り的にありそうな場所に歩いていくと洗面所とお風呂場を発見して、好意に甘えてシャワーを浴びる。


 三浦さんの家はシンプルで清潔感があって無駄がない。


 モノトーンとウッド調で統一されていて、意外にも女性物のアイテムが一個も置いてなくて、三浦さんが普段使っているシャンプーたちを借りることにした。


 二日酔いの体に熱い体は強い刺激だけど、頭をすっきりするにはもってこいだった。


 頭では覚えてないはずなのに、体に残る倦怠感と違和感の正体に心当たりがあるので、三浦さんとのセックスが生々しく実感されてきた。


 色んなことを洗い流したくなって念入りに体を洗って外に出ると、ちょうど帰宅した三浦さんの「ただいまー」が聞こえてきた。


 そのまま一直線に私のいる浴室まで来た三浦さんは「真穂、開けるぞ」と私の返事を確認せずに本当に開けた。

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