第12話

あれから、1週間がたって、私はたまたまテスト期間のため、この間のササとあったあの土曜日から、3週間お休みをもらってた。


あの後は、ササを避けるように帰宅した。

じゃないと、感情に任せてササを傷つけることも平気で言ったと思う。


気持ちの整理をすぐにつけることも難しくて、大切な友達は失ってないけど、一気に大事な関係が壊れた。


もともと、保つことさえ出来てなかったんだ。

私が必死に隠して壊れないように必死に、それに、ササも協力してくれてたんだ。

ササが、私のことすきって分かってから、どんな気持だったか考えて、少し泣きそうになった。

自分に置き換えて考えたら、これほど切ないことはないと思った。


でも、私は、あのままでいたかったんだ。

曖昧な居心地のいい、恋が生まれる前から、生まれても変わることのない三人の関係を保ちたかった。


ケータイを眺めて気づいた、ササとは連絡を交換してたこと。

履歴を見ると、着信もあるし、ラインもある。


こんな時代で、あんなに仲が良くて、大和と交換してないことも、不自然なことだった。

アイコンに彼女が映ってたり、タイムラインを表示されるのも怖かったのか、私はやっぱり、ずっと逃げていたんだ。



今日取っていた講義を受け終わって、どうしようか悩みながら、屋上から空を眺めていた。


そしたら、知らない電話番号からの着信だった。

最初は怖くて出ないと思ったんだけど、長くなるから、出ることにした。


今日は晴天で、あの日の朝見たいに気持ちいい。

しかも、今日は風が前よりあって、それも外にいて不快にならない。




「……もしもし」


「お、こんにちわ、陽菜の携帯であってる?」


珍しく私を名前で呼んだ大和の声だった。


「大和?」


「うん、ケータイ交換してなかったよな。これ俺の番号だから登録しといて」


「あ、うん…、どうしたの?」


大和の感じがいつもと変わらない。

当たり前だろう。私とササの間にあったことをヤマは知らない。

いや、知られてはいけない。


「コウが、はるが電話に出ないって言ってたから、言っとかねえとって思って。今日そっちに行くらしいから、頼むね」


「……え??」


思わず間抜けな声が出た。

大和が電話してくるということは、何か用事があったと思って聞いたんだけど、予想していた用事と違った内容が聞こえた。


「コウと喧嘩した??」


「……うんん、してない。私が逃げちゃったから、喧嘩にならなかった」


電話だと、より柔らかく聞こえる落ち着いた大和の声に、隠さず話してしまう。


大和も今日は大学らしい。

後ろから教室のがやがやとする声が少し聞こえる。

大学でも大和はクールなのだろうか。

だけど、見た目に反して、話す声や話し方はこんなにも優しいんだ。ピアスだっていっぱいつけてるのに。


きっと、大和の彼女も優しい子なんだろう。



「コウ、後悔してたよ。なに言ったとか、内容何にも言わねえけど、我慢するように、何度も悩んで頭抱えてた」


「……そっか、、」


「電話も繋がんなくて追いこんだみたいだけど、なんか沸点に達したみたいで、明日陽菜んとこ行くわ!!って、珍しく溜めた課題すげー速さで片づけてよ」


「うん、なんか嫌な予感してきた」


「乗り込むとかしねえと思うけど、コウの見た目って女子が騒いじゃうイケメンじゃん?なんも知らないと陽菜やべえかなって思って電話した」

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