第11話

「…ごめん、はるを傷つける資格なんて俺にはない、だけど、現実を突きつけたかった」


「…っささ…??」


「陽菜、大和には彼女がいる」


「ささっ…!!なんで見たくないって言うのに、聞きたくないって拒否してるのに、現実突きつけてくるの!?ササに言われなくたってわかってるって言ったじゃん!!なんで、そのままそっとしてくれないの??私、大和の迷惑になってたの…??」


怖い、予感がよぎった。

まさか、大和の迷惑になってた??

大和は私の気持ちに気付いてないって言ったけど、どこかで私は邪魔をしてて、ササが言ってきたの?


「そんなことねぇよ。さっきも言ったけど、大和は陽菜の気持ちに気づいてねえよ。陽菜が気づかれるのが怖くて上手に隠してるか、一割は、大和が無意識に気づかないふりをしてるかだ」


「無意識に…」


「大和だって、この関係を壊すことは考えてねえよ。陽菜以上に、三人でいるこの空間を大切にしてるかもしんね」


「……ささは、この関係いやだった??私のこと、嫌いだった??」


だから、傷つけたかったの??

最後の言葉は口に出来なくて、涙で滲む視界でササを見上げた。

ササは、ササは、自分も、傷ついてる顔だった。


「んなわけねえだろ。このまま三人で、じじばばになっても、この関係でいたいと思ったよ。こんなに仲良くなるのも、こんなに特別な関係も、バイトじゃなかったら出会わなかったろ。俺だって大事にしたかったよ」



だったら、なんで、なんて言えなかった。

ささも、苦しそうだったから、静かに、ササの声に耳を傾けた。


いつの間にか日が落ちて、もう夜が顔を出し始めた今、ササの揺れてる目が、私を捉えた。


「…我慢出来なかったんだよ。大和のことを好きでいる陽菜を見るのを、っもう耐えきれなかった・傷つけても、泣かせても、大和に彼女がいる現実を受け入れさせたかった」


ササの言ってることが、半分以上、難しい単語に聞こえるのに、脳はしっかしりと意味を理解して、私に伝えてくる。

そんなこと、しなくていいのに。


私は二度も、見たくない、現実と向き合うことになるんだね。


「陽菜が好きだ」









今まで見たことない、男の顔をした真剣な顔のササが、私を逃がさないと、見ていた。



ああ、もう、、戻れないんだね。

見ないふりしてたあの頃の楽しい時間には、戻れないんだね。


ササは覚悟を決めたんだ。

そして、私にも、それを、させたかったんだ。

ひどい男だササは。

勝手な奴だ、そんな奴に好きだと言われても、嬉しいはずがない。

だって、大和に彼女がいても、好きな気持ちが消せなかったんだもん、、


枯れ始めた涙が、また溢れ出す。

戻れない、戻ることを、ササが許さないだろう。

覚悟を決めたササは、切なく、泣きそうな目で私を見つめていた。


ササが私をそんな顔で、そんな目で見てた理由をようやく理解した。


ササは、私が好きなんだ。

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