第7話
私のお手製ハンバーガーですっかり喉焼けした大和とササですが、午後からもちゃんとホールで注文を取ってました。
あのクールでかっこいいヤマの顔をあんな風にゆがませることが出来たのも私ぐらいかな、と優越感にも浸れた。
あの後のササがしつこくてほんとにうるさかったけど、夕方になり、少しずつ陽だまりも混み始めてきた。
お仕事モードになったヤマの顔は、普段よりも、きりっとしたクールがました顔で、そのヤマの姿もかっこいい。
普段のヤマも好きだし、お仕事モードのヤマにもキュンキュンとする。
ついつい目で追ってしまう。
物腰しも柔らかいし、注文を取る時の膝を折る低姿勢のしぐさもかっこいい、声も、心地いい、低めの男性ボイス。
コップの置き方だってかっこいい。
「ぽさっとすんなよはる」
急に背後から声をかけられてハッとする。
びっくりした、背後に立ってたのはササだった。
一通り、お客様に注文を聞き終え落ち着いたので、カウンターの前で、お盆を手に持ち、店内を見ているところだった。
ササもお客様に提供を終えて、キッチンから出てきたところだろう。
「ごめん、オーダー落ち着いたから、気を抜いてた」
素直に謝ると、ササは、あんまりいい顔をしない。
なんだか、言葉でうまく表現できない、顔をしている。
「……ササ?」
「はるは、鈍感なの?それとも気付かないふりしてんの?」
何人もの女性を虜にしてきただろう、ササの色気を感じるスタイルと顔をおしみなく私にぶつけてくる。
でも、鈍感とはどういうことだろう。
私がヤマを好きなことだろうか。
それとも、ヤマのことを好きなことを、ばれてるということだろうか。
もし、後者なら、確認しなければいけない。
こんな形でヤマに気持ちがばれるなんていやだ。
「コウ!キッチン手伝ってくる。なんかあったらすぐ呼んで」
私が切りだすタイミングを見ていると、大和が店長の手伝いに、私たちの横を通ってキッチンに入った。
ヤマの通った後には、もう覚えてしまった、さわやかなササの香水の香りが少しした。
店内は、女子同士、カップルなど、パスタを口に含んだり、グラタンを食べたり、ゆっくり和みやすい木を多く使った店内で、会話を楽しむにぎやかな光景が広がる。
この状況なので、私もササと話をすることにした。
少し、重たい口を開く。
「……ササは、私がヤマをすきって気づいてた?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます