第6話

もくもくと作っていく私と伝票を確認していく店長の紙をめくる音が聞こえてくる。


「はるちゃん、最近どう?」


「……なにも変わらずです」


「そっか」


店長の話題のさしてるものは、ヤマとの進展はあったかどうか。

店長は私がヤマを好きなことを知ってる。


協力するわけでもなく、面白がることもなく、店長はただただ見守ってくれてて、ほんとに大人だなって思う。


「店長は最近彼女とデートしました?」


「もっぱら家でデートが多いかな。昼間はお店にいることが多いから、夜のデートも増えるし」


「家デートだとなにするんですか?映画見るとか?」


「美里が会社からの仕事を持ち込んでパソコンやってたり、俺が起きたら大人の事情やったりかな」


ぼっと顔が赤くなった。

いやいや、ぶっこんだ店長が悪いんだけども、美里さんと店長のそういうのを想像してしまった。


ふわふわパーマのかわいい美里さん、見た目は癒し系だけど、中身はきびきびしてて、店長の彼女さんだ!って納得する。

店長も、見た目と違って中身はしっかり者だし、似たもの同士です。


「たまにはデートとかも行きたいんだけど、美里も忙しいみたいだし、家で昼寝する方が今はいいみたい」


「美里さんは出かけるならどういうところが好きなんですか」


「あいつ水族館がめちゃめちゃ好きなんだよね。そろそろ行きたいって言いだしそう」


伝票をめくる手をいったん止めてうなだれる。

今は店長のお休みが自由に取りにくいんだろうな。


「私も水族館大好きなんです。機会があれば、美里さんと行きたいです」


「まじ?美里すごく喜ぶよ。はるちゃんのこと大好きだからね」


美里さんの大好き情報に飛び跳ねそうになりながら、仕上げたバーガーをお皿に乗せた。


「店長出来ました~!!」


お皿を店長の前に置いて確認してもらう。


今日はサラダ多めのレタス、きゅうり、トマトに、ボリューミーはチーズインハンバーグをサンドしたハンバーガー。


「見た目もおいしそうにできたね。重ね方も完璧、見た目もきれい、食べやすい厚みだね」


「隠し味は、アボカドソースの代わりの大量わさびです。うひひひ」


「おーおー、、、はるちゃんは怒らせたらだめだな、、」


苦笑する店長にニーっと笑って、二つのハンバーガーを乗せたお皿を大和とササのところに運んだ。


「お待たせしましたー♪出来たよー!!」


見た目に騙されてかぶりついた二人の悲鳴がスタッフルームに響いた。


私はキッチンに避難して、店長と談笑しながら、オリジナルバーガーをいただいた。

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