第53話
翔真と過ごした日々もとても幸せだった。
小さな溝をすぐに埋めていたら、
今も翔真のそばで幸せな日々を過ごしていたかもしれない
仕事も恋も充実させて、
好きな人と過ごす日々に
心も満たされた毎日を送っていたかもしれない。
だけど、
小さな溝を埋めることができなかったから、
私の気持ちに気づいてくれた部長が
私に仕事としての手を差し伸べてくれて
自分の好みよりも自分に似合うものに
心を支配されていた私を救い出してくれて、
私をたくさんたくさん愛してくれた。
私は、速見尚人を愛しています。
速見尚人も、私を愛していますか?
きっと答えは、
――――3年後の私の左手が教えてくれるはずです。
END
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