Last 歯車
王子様の元に戻ったシンデレ
第49話
「部長…私も、私も部長がすきです…!!」
「今日、それを伝えたくて来ました。部長が海外に行っちゃったら、なんの接点もなくなっちゃうから。もう、上司と部下の関係に甘えて逃げるなんてできなくなるから……」
涙と一緒に伝えたかった言葉がどんどん溢れてくる。
部長は私をぎゅっと抱きしめたまま離してくれる気配はない。
「部長と、奥様のことも、傷つけるのも傷つくのも怖くて、このままでいいと、部下でも部長に大事にされるなら関係壊したくないって思ってたんです、ずっと、ずっと部長と一緒にいたかったです、離れたくない、です。苦しいです…」
「俺だって、俺だって怖かった。今だって、二宮を置いて日本を離れるの怖えよ。俺、嫉妬するし独占欲だって強いのに、離れたこと考えたら頭おかしくなると思った」
「でも、行くんですよね、海外赴任」
「行くよ。……二宮も、仕事辞めて一緒にくるつもりなんてないだろ」
「……はい」
「わかってる。二宮はこの仕事好きだから、やめて一緒にくるって選択肢は考えてなかったし、足枷にならないつもりで気持ちも伝えないって決めてたんだ。二宮が会いにくるまで、黙っていくつもりだったんだ」
「本当に、私とおなじ気持ちだったんですか…?部下としての好きじゃなくて」
「女として見てるよ。男の機能壊れるんじゃないかって思うぐらいの、辛い禁欲生殺し生活だってよく耐えきったと思うし……」
「私は、部長にこうやって触れてほしかったです」
「今それ言うと、もう我慢しないよ?」
「我慢、もういらないです。離れてる間も部長しか見えないように、たくさんたくさん教え込んでください。もう、部長しか見えないように。離れても思いだせるように…」
部長のことは好きだし離れるなんてすごく辛いけど、私は仕事が好きで、部長が作ってくれた仕事の基盤が大事で、翔真の時みたいに自分の好きなことを我慢する恋愛はもうしない。
部長が本当に好きだから、そんな失礼な付き合い方は絶対しないの。
それで、大事だった翔真を傷つけて別れる選択もできてしまったから。今度こそ、翔真を大事に出来なかった分まで、この恋を大切にしていきたい。
私は一緒に行かずにここで頑張ります。
部長が帰って来た時に、頼りになる、って褒めてくれるぐらいの自慢の部下に成長して待っていたい。
部長のおかげて今の自分がいる、だから、ここで頑張るんだ。
離れても、私はずっと部長が好きだし、部長しか見えない。
そうなるように、部長が体に刻みこんでくれるから。
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