いつまでも続いてほしい、
第37話
部長のところに逃げ込んでから知ったこと。
部長は甘党でとくにチョコが好きなこと。
疲れた時ほどチョコを食べたがること。
翔真と一緒で朝が苦手で毎日3分おきにアラームをかけて起きていること。
家事はするけど本当は嫌い。
仕事優先人間で必要にかられるからやるけど、やらなくてもいいならやりたくない。
柔軟剤とか生活用品にこだわりがないから、今は私が好きな柔軟剤で統一されてても平気で過ごしていること。
掃除をしている時にたまたま見つけた卒業アルバムや昔の部長はやんちゃで、実は若気のいたりでピアスが7個空いていること。
寝室に隠してあったゴムの箱はいくらか使われた形跡があったこと。
居候の私が家事全般を引き受けると今まで家事に当ててた時間を仕事に当てるほど仕事人間で、たまに息抜きで煙草を吸っていること。
これも昔の名残らしい。
お酒はめっちゃ強いけど必要にかられないので飲まないこと。
今まで仕事でしか知らなかった硬派で黒髪で愛妻家で仕事ができる理想の上司の意外すぎるギャップをいくつも見てきた私の腹筋は崩壊するほど刺激を受けた。
一カ月はソファーで寝ていた部長もさすがに体にきたらしく、二か月目からは一緒のベッドで寝るようになったけど、手を出されたことも一線を越えたことも一回もない。
キングサイズのベッドでお互い自由に睡眠を満喫していて、こんな緊張感がない共同生活は中々ないと思う。
なんでベッドがキングサイズで枕が二つあるのかは聞かないでおく。
翔真と同棲するマンションから逃げ出して三カ月がもうすぐ経つけど、翔真と連絡は一切とっていない。
部署が違うから顔を合わせることもほとんどないし、莉緒とは同じ部署で毎日顔を合わせるし仕事上の会話もするけど、想像していた以上に辛くないし傷ついていない。
それはきっと部長と過ごす毎日で私の気持ちが安定しているからだと思う。
仕事の方も順調に進んでいて、前は部署に残ってやっていた仕事も、料理を作っている最中や、リビングでくつろいでいるとき、ドライブに出かけたときに意見を出し合って会議が出来ちゃうから楽しくて、残業するより全然はかどってる。
こんなに堂々と家の中でも仕事の話ができるのは部長だからだし、部長と過ごす時間が、本当に楽しかった。
もう、自分でもごまかしきれないほど、部長のことが好きな気持ちが大きくなっていた。
ずっとこの時間が続けばいいのに。
部長にこの気持ちを伝えるつもりはないから、このまま曖昧な共同生活を続けていきたい。
そう、都合のいいことばかり考えるようになってしまった。
もうすぐ、私が任された仕事が完成して終わりを迎える。
その時には、逃げずに翔真と話さないといけない、そう思っている。
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