歯車 three
動き出した4人の関係
第17話
あのまま意識を手放してしまった私を腕の中に閉じ込めて気持ちよさそうに寝ている翔真の寝顔が、私が一番最初に視界に入れた景色だった。
お互い服を着てない状態で、いつの間につけたのか分からない複数のキスマークが鎖骨下の見えないところからお腹にかけて付けられていた。
翔真がキスマークつけるなんて珍しい…。
いつも見えないところに付けるから気にしてないんだけど、25を過ぎてから独占欲を形にすることは滅多になかったから、翔真の中で消化できない何かがあったのかもしれない。
今の翔真に仕事の話は余計に悩みを増やすだけだから、今は黙っていることにしよう。
私と翔真が将来を真剣に考えていることも、私が翔真を大切に思っていることも、私自身が専業主婦になることを考えていることも変わらない事実だから。
今日も変わらず朝が弱い翔真を起こさないようにベッドから抜け出し、今日はシャワーを浴びてから朝の支度を始める。
翔真と私の日常は何一つ変わってないと信じていた。
翔真のスマホに莉緒からのラインが来ていたことも、翔真が私の仕事の話を知っていたことも、部長の奥さまの秘密も、これからの2人のことも…。
「翔真起きてーーー!支度する時間だよー!」
あとは朝ご飯を食べるだけの状態まで準備した私は未だに真っ裸でベッドから起きない翔真を起こしにかかる。
「翔真ー!翔真―!!」
何度呼んだって起きる様子がないので、翔真の体を包んでいるブランケットを勢いよくはぎ取った。
すると一瞬ひんやり感を感じたのか目を覚ました翔真が私を見て「いきなりはぎ取るのはなしだろ!」と抗議した。
わたしは翔真が起きたことを確認できたので、そのまま朝食の仕上げに向かい、翔真も下着だけを穿いた状態でシャワーへと向かい、戻ってくる頃にはいつもの翔真に戻っていた。
寝起きの少し残念な翔真を知っているのは多分私だけだと思うと、優越感から顔が緩んでしまった。
「「いただきまーす」」と2人で手を合わせ朝食を食べ始める。
私はみそ汁を口に含みながら壁に掛けられた時計を確認する。 いつもなら全然余裕がある時間帯だけど、これからのことを考えると少しでも早く出社したいと頭で計算してしまう。
「翔真、相談があるんだけど、いいかな?」
「ん、なに?」
「今日から仕事が増えてちょっと忙しくなりそうで、出来れば朝は早く出社したくて、夜は遅くなるかもしれないんだけど…」
翔真の顔色を見ながら窺って見ると、翔真はいつもと変わらない優しい笑みを浮かべて、「いいと思うよ。俺も、応援する」と言ってくれた。
その後すぐに伏せた翔真の瞳がきれいで私は見惚れてしまった。
私は何年一緒にいても、ふとした時に翔真に何度でも恋をするんだろうな。
「お仕事落ち着いたら、また一緒に出社して、一緒にいる時間たくさん作ろうね」
「そうだな。昨日でゴム使い切っちゃったから補充もしとかないとな」
「そ、そっちもですか…!!」
久々に激しい翔真を目の当たりにした翌日も、翔真の中には抑えられないオスがまだ住み着いているのかもしれない。
最近してなかったのに、また私の都合でレスになっちゃうけど、可能な限りスキンシップをとりたいな。
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