第14話
瀬野部長に続いてエレベーターを降りる速見部長たちが「お疲れ様」と手を挙げながら帰る背中を見送って、わたしと翔真も同棲しているマンションに向かって足を進める。
翔真は途中行きつけのスーパーで食材を買って帰るというので私は先に帰って洗濯物やお風呂の支度をすることにした。
1人で充分帰れる明るさと街灯と人通りの良さで過保護気味の翔真と決めたマンションまで歩いていると、薄々感じていた翔真の怖さが”怒っているから”と気づいた。
あの翔真が怒っているは相当ヤバいこと。
翔真が怒ることなんてそうそうないし、私が怒られる時も、私に危険があったときや注意力がなくて怪我をしそうなときや、翔真の感情のまま怒ることなんてなかった。
だとしたら、今回の原因も私にあるはずだけど、…私が朝のバイバイ以来、翔真と再会したのはさっきのエレベーターからだし、大学時代は私が告白されたことを誰かからか聞いてしまって拗ねたってことはあるけど、怒られたことはないし、社会人になってからは翔真がいるのに告白する勇者はみたことない。
私は自分の外見に正直自信もないし過剰な自覚もないけど、自分の彼氏が超イケメンで仕事ができてモテる!!って自覚はしっかり持っている。
だいたい、こんなイケメン先輩が私を異性としてみないだろうなと確信を持っていたから翔真の好意に全然気づかなかったし、翔真の周りの先輩たちは本当に綺麗な美女やかわいい美少女ばかりだった。
そんな翔真を彼氏に持つ私は女子から憧れの目で見られ、男性からは恋愛対象外に放りこまれて快適に過ごしている。
だから、今の私は翔真を怒らせる要素すら持ち合わせていないんだけど…。
考えこんでいても自然と足は進むので、自宅の鍵を開けて洗濯物たちを片づけていると翔真が少し遅れて帰宅し、すぐにリクエストした野菜ごろごろスパイシーカレーを作り始めてくれた。
スーツを脱ぎすてて部屋着のTシャツにスエット姿の翔真は、薄手の生地が筋肉質の体を拾ってよりスタイルを浮き彫りにしてかっこかった。
少しだけ料理をする翔真の後ろ姿を堪能したら、「先に風呂行ってこいよ」と言ってくれた翔真のお言葉に甘えてお風呂に入ることにした。
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