第4話

「おはようございます」

 

 私が声をかけながら自分のデスクに向かうと、手を離せる人は顔をあげて挨拶を返してくれた。


「日菜子おはよー」

「二宮おはよー」

「先輩おはようございます」


 皆の挨拶に応えて自分のデスクに向かうと、私の斜め前の窓際の部長デスクで書類と睨めっこしている真剣な顔の速見部長がいた。


 速見部長があんな真剣に書類を見て悩んでいるなんて珍しいな…ってその時は何も気づいてなかったし分かってなくて、速見部長が私たちが自覚している以上に部下を見てくれてると知らなかった。


 そして、この後の朝礼で、私、翔真、部長を巻き込んだ歯車が回り始めることも気づくことなく、私はのんきにデスク周りを片づけて、隠れて食べるリベラチョコを引きだしに補充していた。















―――”カチッ”



小さな小さな音を立てて歯車が回り出す。










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