第2話
私と翔真は幼なじみで、初めて顔を合わせたのは幼稚園らしい。
話をするようになったのは中学に上がってから。
翔真はわたしの1つ上の学年だったのに、なんだかんだ縁が切れることなく大学まで一緒に進み、腐れ縁が熟成しって、会社まで同じところに就職してしまった。
恋人関係になったのは私が大学2年、翔真が大学3年のとき。
そこからお付き合いが始まって、2年前から同棲を始めた。
私も翔真ももちろん結婚を意識していて、翔真がタイミングを見ているのもなんとなく悟っていたし、私も結婚するなら翔真だと思っているんだけど、どうしても踏み込めない感情が私にはある。
それに翔真は気づいているのか気づいていないのか、今の状況じゃ分からないし読み取らせてもらえないんだけど、多分、今年か来年が私たちのターニングポイントになると思う。
私の手を握って前を歩く翔真を横から見上げて、こんなに私を大事に思って大切にしてくれて、長い間好きでいてくれるのは翔真しかいないと確信している。
翔真が高校のときから私を好きだったと聞いたときはびっくりしたし、そんなそぶりをされたこともなく、私が翔真を異性としてみてくれる待ってくれた優しさも嬉しかった。
翔真は私の歩幅に合わせて進んでくれる人。
困ったときは引っ張り上げてくれる優しさと強さも持っていて、仕事もできるし信頼できるし、頼りになるし、私も本当に大好きな人。
「翔真、今日の夕ご飯は何食べたい?」
「そうだなー。今日は早めに上がれそうだから俺が作るよ。日菜子は何がいい?」
「翔真が作ってくれるの!?嬉しい!翔真の特製カレーが食べたいな!野菜たっぷりでピリッと辛いやつ」
「りょーかい」
楽しそうな翔真に不思議になって「どうしたの?」と聞いてみたら、何とも失礼な答えが返ってきてむすっとなった。
「日菜子は見た目ふわふわでめっちゃ可愛いのに中身が体育系のおやじがいるからギャップで…」
なんとも失礼過ぎる。
確かに自分に似合うものを理解できる年頃になって、自分がふわふわした見た目で可愛いものが似合うことを認めざるを得なかったけど、本当はクール系のかっこいいお姉さんになりたかったのを翔真は昔から知っているのに。
ないものねだりは仕方ないと自分の個性を生かすことにしたけども。
私は翔真の言うとおり中身はそんな女性らしくなくて、ご飯はがっつり食べたいし丼もの大好きだし翔真と家系ラーメンも行くし。
1人でも平気で飲みにも食べにもイケるんだけど、この見た目のせいで周りから浮いて正直嫌な思いをしたこともある。
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