歯車 one
翔真がいる日常が私の世界
第1話
耳に届くスマホのアラーム音に少しずつ覚醒し始めた脳が、起きることを選択してベッド側のテーブルに手を伸ばして音を止める。
カーテンから覗く日差しが暖かい今日は天気予報通りの晴天のようだ。
わたしは隣で気持ちよさそうに寝ている翔真を起こさないようにゆっくりベッドから抜け出し、朝の支度と朝食づくりと洗濯物にとりかかる。
翔真と同棲し始めて二年が経ち、朝が弱い翔真の代わりに家のことを片づけて自分の支度まで済ませる作業に慣れ始めた。
不満やストレスを感じることなく仲良く生活できている。
ヘアバンドをつけて顔を洗い終わった自分を鏡ごしにみると、女性らしさが増した27歳のわたしが映っていた。
翔真と付き合ってから、もう7年が経つんだ。
ひしひしと感じ始める気持ちに、心がまだ追いつく様子はなかった。
洗濯物を干し終わり着替えとメイクも終わり、朝食の準備もダイニングテーブルに揃い始めた頃、エプロンを一度外してイスにかけたら、まだ眠りから起きない愛しい人を起こしに行く。
「翔真ー!翔真!朝だよ!起きて!」
声をかけるけど気の抜けた顔で寝ている翔真はまだ夢の中なのか気づいていない。
低血圧だし寝るのが大好きだから仕方ないけど、そろそろ起こさないと遅刻するのが目に見えているので、わたしは体をゆすって翔真を起こし始める。
ゆさゆさとゆるりたいのに、身長が156センチしかない私に対して翔真の身長は178センチと体格差があり過ぎて思うように動かせず。
普段自宅で鍛えてるところなんて滅多にみないのにしっかりシックスパックに割れた腹筋を持つ翔真に乗っかりお腹の上でジャンプを始めたら「うえ!?」とカエルが鳴くような情けない声をあげて翔真が覚醒した。
まだまだ甘いかな?と跳ねるのと止めないと「起きます起きますーーー!」と悲鳴をあげたのでやめてあげた。
涙目で私を見上げる翔真に「おはよう」と声をかける、「もっとまともに起こしてほしい」と泣き言を言われてしまったが、起きない翔真が悪いので無視です。
「翔真、早く起きてご飯食べよ!今日は一緒に出社出来るんだよね?」
「おう、ふあーねむ。今何時?」
「7時ちょっと過ぎたあたりだよ」
「さんきゅー」
朝食前に洗面所に消えた翔真が戻ってきたときにはいつもの翔真になっていて、イケメン翔真に改めて「おはよう」と声をかけて一緒に朝食をとった。
朝食は翔真とわたしの意見が一致して和食が定番になっている。
翔真は食べた食器を片づけて余裕があるときは洗い物をしてくれるので、わたしはその間に簡単に掃除を済ませて、部屋を整えたら、翔真のネクタイを私が締めて玄関に。
これが私と翔真が同棲してからの毎日の流れになっている。玄関を出る前はいってきますのキスも欠かさない、何年経っても仲の良い恋人同士だと思う。
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