第60話

初めて会ったときのことを

店長は覚えてますか?


第一印象は怖かった。


そのことを店長は気にしてて、


わたしの言葉ひとつで左右されて、


大好きなグレーのカラコンも、

マルボロも

我慢しちゃうんだ。



悠真のキスしか知らないわたしは

店長からするタバコのキスが

とても苦く、大人に感じた。



最初は苦手だったキスだけど、

今でも少し苦手だけど、

店長のキスって感じがして

好きだったよ。



店長が着信にしてたPVの女の子が

少し恵里さんと雰囲気似てて

こっそり焼きもちを妬いた。



店長が隠し持ってたDVDの女性が

スタイル良しのボインさんで

やっぱり恵里さんみたいな女性が

好きなんだ!!

と焼きもち妬いた。



店長のつくる賄いがすきで、

店長のつくる料理が

ほんとに美味しくて、

嫌いだったエリンギを食べれるようになった。



店長はわたしの好き嫌いを知りたがった。


わたしの好みを知りたがった。



元々薄味で大好きな料理なのに

薄味が好みなわたしのために

気を付けて味がなくなっちゃって、

そのままでいいって言ったのに。


アイスを食べたがった

わたしとめぐさんのために

休憩中に買いにいってくれた。



なんのアイスがいい?って聞かれて

高いアイス!と答えたわたしの

希望を叶えちゃうところとか、


最初に欲しがったガーナアイスを

探しちゃうところとか、


期間限定アイスを欲しがった

わたしとめぐさんのために

ハーゲンダッツの

期間限定を買ってくるとことか、


たまたま期間がハロウィン使用で、

わたしの好きそうなイチゴにするか

30分も悩んだところとか、



ほんとに、ほんとに、

嬉しくなるほどかわいくて、

一つ一つに店長の好きがつまってて、



ーーー本当に幸せだった。



幸せだった。

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