第44話

「店長、今日は早く帰れたんですか?」


「毎週あんな遅くまで騒がれたら俺の寝不足悪化するじゃん。今日は早めに解散してもらった」


「店長は明日も仕事ですか?」


「もちろんですよ」


「…じゃあもう寝ないとね、お風呂入れてきまーす」


私に抱きつかれながらも器用にコーヒーを飲んでいた店長から腕を離す。


と、腕を掴まれ噛みつくようにキスをされた。


「蔵永とラインした?」


「してないですよ?そもそもメッセージ来てないから送ってないし」


「ふーん……」


なにか言いたげな店長に何かあったのか聞こうと思った瞬間、ニットの裾から店長の大きくて長い指がすっと入りこんだ。


「うわっ…」


「ひなたちゃーん、その色気のない声はなに?」


くすくす笑う店長がわたしのすぐ前まで顔を近づけて反応を楽しんでいる。


「いきなりだったからびっくりしたんです」


「あんだけくっついといてそのまま離すわけないじゃん、しよ?ひなちゃん」


「店長明日も仕事で出勤早い日だよ…!?」


わたしの返事を聞く前から店長の手はわたしの服を脱がせにかかってて、ブラのホックは簡単に外された。


「早起きなれてるから大丈夫だよ」


首筋にキスを落としながら胸の膨らみに触れられてわたしの体はびくっと跳ねた。


「ててて店長!!……っ寝室、行こ?ここ明るいからやだよ…」


いつもならやだの攻防戦を店長とやるんだけど、今日はすんなり寝室に向かってくれた。


店長にいつも通り担がれながら、安心する温もりに少しだけうとうとする。


最近ちょっと気も張ってて、恵里さんへの罪悪感から少し眠りが悪くなってた。


店長の話をする悲しげな恵里さん見ても、1度手に入れた店長を簡単に手放すなんてできない。


この温もりを1度知ったら、店長に愛される喜びを知ったら、離れるのはほんとに大変だと思う。


恵里さんのように彼女の肩書きはない、ほんとにただのセフレになっちゃうんだけど、店長の指や熱や表情から、ほんとに愛されてることを実感できる。


だって、今の店長に映ってるのはわたしだけだもん。


熱に犯されながらわたしも店長を見つめた。


大好き、大好き、大好き。


店長はわたしの気持ちを信じてないけど、大好きだよ。

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