第36話
「今まで、ありがとうございました」
小さく頭を下げるわたしに、悠真は何度もごめん、ごめんと涙を流した。
わたしも許せなくてごめんね。
離れることを選んでごめんね。
最後まで側で支えることができなくてごめんね。
幸せになってね。
悠真はたくさんの人に愛される人だよ。
きっと、すぐにいい人が見つかるよ。
大丈夫。
わたしに勿体ないぐらいのイケメン高身長で、ほんとにほんとに一途なんだから。
だから浮気されたとき驚きが倍増だったけど、こんなにかっこよくて優しくて素敵な彼氏なんてそうそういないよ。
わたしには贅沢な時間だった。
悠真が一人になることはもうないよ。
幸せになってください。
大好きでした。
愛してました。
世界でいちばん愛しい人でした。
さよなら、さよなら、
さよなら、悠真ーーーー
部屋に流れる赤い糸。
悠真とたくさん泣いて抱き合って、じぶんの目の前にいる愛しい彼の感触を確かめる。
『もう、間に合わないと思った。ひなたはすぐにいなくなる』
『最初に振ったのは悠真だよ…?』
『そんなすぐに答えなんて出せねえよ』
『2ヵ月待ったよ。その間焼きもちばっか妬くくせに答えくれなくて、何度泣いたと思ってるの?』
『俺だって泣いたよ』
『うっそだ~』
『連絡つかない間、ずっとこれ聴いてた。やっと捕まえたから、もう離してやんねえ』
優しくわたしにキスをする悠真。
耳に流れてくる歌詞。
もう悠真はこんな気持ちでいたのかな。
悩んでたのかな。
そう思うと、わたしも涙がボロボロ出てきた。
『何泣いてんだよ、』
優しく指で涙をぬぐうけど、わたしの涙が涙腺崩壊したように次から次へと流れる。
『だって……っ、』
『俺が大事にする。あいつよりも何倍も何百倍も、ひなたを幸せにできるのは俺だけだよ』
『っ…ぅ…っ、』
辛い恋の出口がやっと見えた。
悠真が救ってくれた。
悠真がわたしを見つけてくれた。
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