第4話
「本当に別れたら、…どうするの…。私の頭の中の記憶、全部もっていなくなってよ…」
ギョーザを包むすぐそばに、鳴らないスマホがずっとある。
もしかしたら、もしかしたら…が消えなくて、スマホを手放すことができなかった。
鳴らないスマホが悲しくて、気にしないようにしてても、見えるところに置いておかないと落ち着かなくて…。
ニンニク多め、ニラたくさんにしても、どこかで期待するの、翔琉が連絡してくれるって。
「会いたいって、寂しいって泣くのが普通の恋愛だって、…いったくせに…」
平気で放置できる翔琉に腹が立って、会いたいと思ってくれない翔琉に傷ついて、また涙が出てきて…。
いつまでも鳴らないスマホに背を向けた。
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