第2話
音楽準備室から漏れてくる、甘い声。
耐えている様子が籠る吐息から伝わるのに、それを許さないように責め立てる指が見えた。
先輩の指は、先生の気持ちいいところを容赦なく責め立てる。
両手で口を塞いで耐えるのに、指を含んだ場所からくちゃくちゃと漏れる音は遠慮がない。
先輩は顔色ひとつ変えず、いつも通りのクール表情のまま。
私が覗いていることを知っているのか、気づいていないのかわからない。
先輩が、こうしていることがバレてもいいと思っていそうな感じがするのはなぜだろう。
開けた先生の豊満な胸元に先輩が顔を埋める。
先生が必死に首を横に振って、何かを訴える様子をじっと見てから、先輩は主張したつぼみを口に含んで、噛みついた。
背中をそらしてのけ反る先生から指を抜き、噛んだそこを優しく含んで、先生の中に先輩のあれを押し込んだ…。
一部始終が、私の覗いている場所から丸見えで、目をそらさなければ、全ての蜜ごとが見えてしまう。
(…先輩、わざとしてる…?)
必死に声を堪える先生の左手には、先日婚約を公表した相手からもらった指輪が光っている。
先生の中で暴れ回る先輩のあれは、先輩の本心を表しているように見えた。
先輩と先生の関係に気づいたのは、2週間前の放課後。
いつも通り、開けられた音楽室の窓から聞こえてくる先輩のピアノの音が、いつもと違う場面で止まったこと。
それが気になって、好奇心から、今まで向かうことを躊躇していた足が動いた。
先輩のピアノの伴奏が風に乗って届くだけで満足、そう思っていたのに。
クールな先輩が、どんな姿でピアノを弾いているのか、どんな風に鍵盤に触れているのか。
あの、長くてきれいな指が、どんな風に動いているのか。
それを生で見たかった、そう思ったのに、私がその日に目撃したのは、鍵盤を鳴らす指ではなく、先生の肌の上で声を鳴かす先輩の指だった。
長くてほしくて少し骨ばった綺麗な指が、先生の胸を歪ませて、先生の主張するそれをつまんで弾いて、押し付けて、赤い舌で抑え込む。
いやらしい音を奏でて飲み込む蜜口に、先輩の長い指はどんどん吸い込まれていく。
初めて見たときの衝撃は本当にすごくて、自分のスカートの裾が濡れていたことに気づいて、自分が泣いているのが分かった。
涙が止まることなく、ぽたぽたと水滴を落としていって、苦しいのか悲しいのか、興奮しているのか、自分の感情が分からない。
わかることは、その行為を見て、自分が大号泣していることだけだった。
(感情の理由は、あとになってわかるもの)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます