第5話

「俺もだよ。果歩しか眼中になかった。だから、誰とも付き合ってないし、告白もオッケーしてない」


「……本当に?」


「本当の本当に」


「結城くんのファーストキスは?」


「果歩だよ」


「っ!本当に!?」


「え、そこから疑ってたの?」


「だ、だって、慣れてる感じあったし!初めてって感じしなかったよ!」


「それを言うなら、果歩だって緊張してる感じなかったし、…俺が初めてだよね?」


「そうだよ、私の全部、結城くんが初めてだもん」


「俺もだよ」


「…っ信用できない!」


「なんで」


 私の反応が面白いのか、結城くんは怒らず笑い飛ばしてくれる。


「だって、なんか、手慣れてたし…」


 あれ?と、空気が変わった気がしたけど、違和感を覚えたときには、結城くんが私の方に近づいていて…。


「こういう風に?」


 背中からするっと入り込んだ手は、慣れた手つきでブラのホックを外した。


 いつの間にか目の前にあった整った結城くんの顔立ちは、私をじっと見つめたまま…。


 観念して瞳を閉じる私を、最後まで見届ける。


「んっ…」


 重なる唇と、結城くんの腕に支えられながら後ろに倒れ込む瞬間が、同時に訪れた。




【卒業アルバム】


(思い返しても、結城くん、慣れてる感じがあった)

(素質があっただけじゃない?…初めて同士でも、気持ちよかったってこと?)

…結城くんは、意外と意地悪です!

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