恋が終わるまで⑥/三角関係?
第22話
「三上さん、靴、とりに行こ」
「あ、うん」
望月くんの声に反応してすぐ、2人で靴をとりに向かう。
後ろにいたはせくん、菜子さん、久保田さんは先にレーンに向かって荷物を置くみたい。
受付のすぐ隣にある靴のレンタルボックスの前に立ち、自分の靴のサイズを探す。
「望月くん、靴のサイズいくつ?」
「28かな」
「大きいね!身長も大きいし、それぐらいあるのかー…」
「はせは身長の割に足が小さいことを気にしているけどね」
「そうなんだー…」
がこん…、と音を立てて、望月くんの靴が先に落ちて来た。
私も自分の足のサイズの靴を取り出す。
「三上さん、24㎝なんだ。女の子ってサイズだね」
そういって笑う望月くんの笑顔が無邪気に見えて、彼女さんの足のサイズはもっと小さいの?と意地悪を言いたくなった。
私たちが会話をしてる間、はせくんたちも会話をしていたみたいだけど、私たちにその話が届くことはなく…。
「ついでにボールも選びに行こうか」
「うん、そうだね」
望月くんと2人で居られる時間を、少しでも長引かせたいと思った。
「よく2人で行かせたね」
私と翔の反対側に腰かけたはせくんは、平然とした姿を見せている。
どかっと座り、優雅に長い足を組んで、余裕を見せているけど、本心はどうなんだろう。
「別に。里帆の邪魔をしたいわけじゃないんで。里帆が嬉しいなら、そうしてあげたいし」
そう話すはせくんの表情は嘘を言っている感じはしない。
見た目がクールなので、対極にいる望月くんと並んだときに怖い印象を持たれやすいところがあるけど、内面は優しいし、一途だし、誤解されるところはあるけど、恋愛面では望月くんより、ちゃんとしていると思う。
「里帆ちゃんと望月くんが進展しちゃったら、どうする?」
意地悪な質問をした自覚はあった。
はせくんはゆっくりと視線を私に向けて、怒ることもなく、いつも通りの口調で答える。
「洸に、彼女とのことをしっかり清算させます」
「…はせくん、損する役回りだね」
「そうならないように、頑張れ」
私とはせくんのやりとりを聞いていた翔が、はせくんの背中を押すように強い口調で応援した。
はせくんに嫌われたかもしれない…と、さっきの自分の意地悪すぎる質問を思い返してしまったけど、はせくんはそんな素振りはなく。
「飲み物、買ってきますよ。菜子さんと翔さん、いつものでいいですか?」
「あ、うん、ありがとう」
「どーいたしまして」
笑顔で応えると、はせくんは立ち上がって自販機の方に向かった。
「菜子がきわどい質問をしたこと、後悔してるかなって心配したのかな」
「はせくん、細かい気配りまでできる子だよね…。私もはせくんを応援したくなってきたよ」
「はせはねー…、洸と対局な見た目と雰囲気だから、女好きとかクールとか遊び人とか誤解を受けやすいけど、まあ、実際に女遊びもするんだけど、本命にはちゃんと一筋で、女の子の気持ちを弄んだりとかしないんだよ。自分に本気な女の子は無下にしないし、弄ばない」
「……」
「洸には、中身もそうであってほしいね」
私が言いたかったことを、翔は最後に締めに出す。
はせくんが心配するように、望月くんの彼女問題は、私たちの目の上のたんこぶかもしれない。
「なんだかんだ2人の様子が気になるか、戻ってくるときの2人の様子を見るのが辛いのか」
「翔のせいか、はせくん推しになりそうだよ」
楽しそうに帰ってくるだろう里帆ちゃんと望月くんの様子を見たら、私も胸が痛むのかな。
はせくんの立場を考えると、なんとも言えない気持ちになった。
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