第30話

久保田さんがレジ周り、本部との連絡確認をパソコンでしている。



 その近くに望月くんがいるから、今度のメンズの展開、配置で話し合いをしているのかも。


 それが終わったら、はせくんと一緒にメンズフロアの品出しに行くんだろうな…。


 はせくんと望月くんが良く働くから、安心して任せられるって久保田さんが話していた。


 はせくんと望月くんがいないときは、久保田さんと副店長の2人でメンズエリアを担当するって聞くから、テスト期間中は、大変だったかもしれない。


 新しい人を入れる話は出ているけど、久保田さん、副店長、望月くん、はせくんがよく働くし、優秀すぎるので、人員が足りない店舗に優先的に…ということで。


 本部の人たちから、強い信頼を得ているし、売り上げも正直ある。


 久保田さんが、幹部の人たちに堂々と意見するところを見ても、わたしの勤める店舗は、すごいなー…って気持ち。


 わたしも追いつけるように、成長できるように、任されたことに、今日も一生懸命取り組む。


 菜子さんの様子を確認しながら、作業を進めていくと…。



「三上、さん?」


 ふわっとしたゆる巻きツインがとっても似合うワンピース姿のの女性が、わたしの名前を呼んだ。


 (可愛い…)


 一瞬で目を奪われるぐらい、ふんわりした癒し系の見た目、くりっと大きな瞳。


 ナチュラルに可愛い、すっぴんになっても美女なのがわかる顔立ち。


 服の上からも分かる、スタイルの良さ。


 出ている部分は、細くて引き締まっているのに胸がある。


 同性のわたしから見ても、羨ましい!可愛い!と見惚れるほどの美女が、わたしの名前を…?


「え…と…」


 わたしと同い年ぐらい、大学生である感じが伝わる彼女を前に、なんて言葉を発していいのか迷っていると、彼女の方から言葉をくれた。


「洸の彼女です。洸から…話を聞いてて…」


 こそっと小声で、少し照れて恥ずかしそうに、手を口元に添えて離してくれる彼女さんは、至近距離で見ても、最強に可愛った。


 わたしも彼女に合わせて、口元に手を添えながら、小声で返事をする。

 

「初めまして…!今日はどうされたんですか?」


 彼女さんの様子から、わたしに対する敵意はないし、打ち解けられる優しい雰囲気が漂っていた。


「あの…、テスト前に、三上さんを傷付けることしちゃったって、落ち込んでて…」


「……」


 (なるほど…)

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