25

なんか、マイナスな事を考えたらラストイベントまでワープしているような気がする。



本当にどういうつもりで、私にこんな事をさせているんだか。



まあ、手越君は前の2人よりも好感触みたいだから、今度こそハッピーエンドは勝ち取るけどね。



明日は手越君のために卵焼きを作っていくんだっけ。



ベストカップルに選ばれる事を祈りながら寝るかな……。



ゆっくりとベッドに入って、ライトを消す。



どんな結末が待っているのか、ハラハラドキドキよりもモヤモヤ感の方が大きかった。





「……あれ?!」




次に目を開けた時、すでにもう学校内にいた。



華やかに飾り付けがされていて、ワイワイとにぎわう生徒の声であふれかえっていた。




「お待たせ、ハニー。じゃあ、どこから回ろうか?」



「え?あ、はあ……」




状況がつかめていない私の肩をそっと抱いてきた手越君。



気のせい?



なんか、段々ゲームの進行が雑になってきているような気がするんだけど。



毎回、朝起きるところから始まっていたというのに、何で今日はいきなり学校?



それに、いつの間にか手に持っているきんちゃく袋。



おそらく中身は、早起きして作った卵焼きなんだろうけど。



作る過程もイベントのうちのはずなのに、飛ばしちゃったのね……。




「どこから回ろうか?ハニーの行きたいところでいいよ?」



「えっと……」




ろうかを歩きながら、手越君に聞かれて周りを見回した。



お化け屋敷にメイド喫茶に駄菓子屋……。



学園祭の定番の出し物が目に入る。



親密度上げるなら、やっぱりお化け屋敷なのかなぁ。




「じゃあ、お化け……」



「コウキー!いらっしゃいませ~!寄ってって寄ってって!」




お化け屋敷と答えようとしたら、メイドの格好をした女の子たちが数人、手越君に駆け寄ってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る