26
ドンッと押し出される私。
メイドさんに囲まれて、ニヤニヤの笑顔になる手越君。
すごくしまりのない顔をしている。
「みんなすっげー、可愛いじゃん」
「でしょでしょー?今なら好きなメイドさんと写真が撮れるよー!」
「マジでー?じゃあ、行っちゃおうかな!」
私の存在を完全に忘れてしまった感じの手越君。
ワイワイとメイドさんに囲まれて、そのままメイド喫茶に入ってしまった。
……え、私はどうすればいいのよ?
ポツンと1人残された私。
何この展開は。
私、ヒロインだよね?
何で放置プレイなの?
疑問に思うけれど、その答えがあるわけない。
しばらくそこにいても、手越君が戻ってくる様子はなかったので、フラフラと1人で回る事にした。
歩き出してもワープする事はなかった。
このイベントいつまで続くんだろうかと思いながら、誰もいなさそうな屋上への階段を上がって行く。
みんなが楽しそうに学園祭に参加しているのを見たくなかったから。
これじゃ、リアルと全く一緒だよ……。
リアルでは、私は友達が1人もいない。
美奈のような性格の子がいれば、まだ良かったんだけど、そんな子ってゲームの中にしかいないものだよね。
普段は1人でも平気なんだけど、困るのは行事の時。
この前、リアルで学園祭があったんだけど、グループ分けが出席番号順だった。
当たり前だけど、誰とも仲良くない私は、グループごとの作業に何も参加できなかった。
私抜きでワイワイと盛り上がりながら進む作業。
何をしていいのかわからなくて、隅っこのほうでジッと見てた。
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