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「安心して?ハニーの卵焼きは合格だから。ママンにも喜んでもらえると思うし!」
「え、いや、あの……」
「そうだ!良かったら学園祭の時にも卵焼き作ってくれないかな?イケメンコンテストでステージに立つ前に食べたら、うまく行けそうな気がするしさ」
尻込みする私に、目をキラキラさせてお願いしてくる手越君。
さっきの怒った顔はどこ行っちゃったの……?
でも、イケメンコンテストでステージに立つ前に食べたいって言ってくれるなら、これってかなり親密度アップ要素じゃない?!
ベストカップルコンテストの事もあるし、ここは引き受けておいて損はないよね?!
だって、もうすでに合格ラインを越えているわけだしさ。
「う、うん……」
「ありがと、ハニー」
私がうなずくと、手越君は嬉しそうに私をギュッと抱きしめた。
……えっ?
驚いたのは、こういう事を初めてされたからではない。
もう少し、やわらかい感触だとかぬくもりがあったかいとか……。
そんな風に思うかと思ったのに。
ぬくもりなんて何もない。
冷たくもないしあったかくもない。
やわらかくはないけれど、かたいわけではない。
何て言うんだろう……。
「あ、ゴメン。ハニーがあまりにも可愛いから」
そう言って照れ笑いした手越君。
……ああ、この顔。
初めて見た時は胸がキュンってなったけれども、今見ても何も感じない。
だって、この前見た時と全く同じ顔なんだもん。
照れ笑いしたお面をかぶったような感じっていうのかな……。
一寸の狂いもないほど、全く同じ表情って、普通できないでしょ。
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