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怖い怖い。
変な想像をして、身震いしてしまった。
「手越君、ここでお弁当食べてたんだぁ?私の事も誘ってくれたらいいのに~」
可愛らしい声がして、顔を上げると、昨日の彼女がいた。
時系列的に昨日だけど、私が体験したのはさっきだから、何か変な感じ。
手越君がいるから、今はくねくねと体をくねらせて、可愛い雰囲気を出している。
私に見せた鬼のような形相が、全く想像できないほどの変わりよう……。
「あー、ゴメンゴメン。つぼみちゃんと一緒に食べたくてさ」
「えー?!じゃあ、私も一緒にいいかなっ?!」
いいよねって言わんばかりに、手越君の逆隣りに腰を下ろした彼女。
何も答えていないのに、お弁当を広げ始めた。
「ねー、手越君。学園祭って誰と一緒に回るの?もしよかったら私と回らない?」
「んー、どうしようかなぁ?」
……えっ?!
アンタ、昨日私と約束してくれたじゃん!
あごに手をあてて、ワザとらしく悩まし気な表情を見せる手越君。
だから、無駄に色気を見せないでよっ!
彼女はポッと頬を赤らめた。
「あれ?キミも卵焼きが入ってるの?自分で作った?」
「え?……あ、う、うん!手越君って卵焼きが好きなの?良かったら、食べて食べて!」
今、答えるのに間があったけど、それウソだな。
彼女の頭の中にインプットされただろう。
手越君は卵焼きが好きだという事が。
「それじゃ、いっただっきまーす」
しまりのない顔で手越君は彼女のお弁当箱から卵焼きをつまんで、口に放り込んだ。
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