18

グッとこぶしを作った時、目の前の風景がサーッと変わっていく。



自分の部屋に戻るのかと思ったら、ワープした場所は校門だった。



……もしかして、手越君と一緒に下校イベント?!



キョロキョロと辺りを見回して手越君の姿を探してみるけれど、彼の姿はどこにもない。



一緒に下校ができるなら、すごく距離を縮める事ができるのになぁと思いながら一歩足を踏み出した。




「ちょっと」




その時、後ろから肩をつかまれた。




「へっ?!」




一歩踏み出す前に後ろも見たけれど、誰もいなかった。



それなのに、一瞬の間で出没したって事?



ドキドキしながら振り返ると、そこに1人の女の子が立っていた。



……この子、見た事ある。



真っ直ぐなストレートの髪に、細身の体型。



可愛い系の顔で、守ってあげたくなるような感じの女の子……。



って、この子、九条君に告白してた子だよ。



あの時、正面から顔を見たわけじゃないけど、こんな感じの子だったはず。



……で、この子が私に何の用なんだろう?




「あなた、どういうつもり?手越君と2人きりでお弁当食べるなんて、彼女気取り?」



「……ハイ?」




可愛い系の顔なのに、形のいい眉を吊り上げてつめよってくる彼女。



えっと……どういう状況?




「え?あれ?……あの、いや、あなた、手越君の事が好きなの?」




どういう事なのかわからなくてそんな風に聞いてみたら、目の前の彼女はキッと私をにらみつけてきた。




「質問してるのは私の方なんだけどっ!」



「あ、す、すいません……」




彼女の剣幕に押されて謝ってしまう。

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