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はあっと深いため息をついて、私はお弁当箱のふたを閉める。




「もう食べないの?どこか調子でも悪い?」



「だ、大丈夫……!」




アンタのせいでしょっ!……とは言えない。



これ、どうしたらいいのよ。



でもゲームの世界だし、こんなに強烈なキャラクターでも攻略方法は絶対にあるはずだよね。



いくらマザコンでも、クリア条件満たせばハッピーエンドになりそうだし。



さすがにこんな手越君とバッドエンドになったら、これから先、乙女ゲームやるのが怖くなるわー。




「あ、手越君。学園祭、良かったら一緒に回ってくれないかな?!」




砕けかけたハッピーエンドへの想いを何とかつなぎ止めるように、私は手越君を誘ってみた。



……もしかしたら、もう先約がいるかもしれないけど。



「お?ハニーが誘ってくれるなんて嬉しいね!誰とも約束してないから、ハニーと一緒に回るよ。約束!」




色っぽく流し目で私を見たあと、ポンポンと頭をなでてくれた。



……そ、それ反則ですから、本当に!



もうダメだ、沸騰して頭が爆発しそう。



頭ポンポンなんて、乙女ゲームどころか、少女マンガの世界でも憧れるシーンだよっ!




「ハニー、良かったらまた明日も一緒にランチどう?」



「う、うん……!」




なぜか少し照れたような顔の手越君。



……もしかして、もしかしちゃう?!



親密度が上がるような事をした覚えないんだけど、これって前進してるよね?!



もうね、ママンが好きでもいいよ!



これは絶対にハッピーエンドをゲットしてやるんだから!

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