17
はあっと深いため息をついて、私はお弁当箱のふたを閉める。
「もう食べないの?どこか調子でも悪い?」
「だ、大丈夫……!」
アンタのせいでしょっ!……とは言えない。
これ、どうしたらいいのよ。
でもゲームの世界だし、こんなに強烈なキャラクターでも攻略方法は絶対にあるはずだよね。
いくらマザコンでも、クリア条件満たせばハッピーエンドになりそうだし。
さすがにこんな手越君とバッドエンドになったら、これから先、乙女ゲームやるのが怖くなるわー。
「あ、手越君。学園祭、良かったら一緒に回ってくれないかな?!」
砕けかけたハッピーエンドへの想いを何とかつなぎ止めるように、私は手越君を誘ってみた。
……もしかしたら、もう先約がいるかもしれないけど。
「お?ハニーが誘ってくれるなんて嬉しいね!誰とも約束してないから、ハニーと一緒に回るよ。約束!」
色っぽく流し目で私を見たあと、ポンポンと頭をなでてくれた。
……そ、それ反則ですから、本当に!
もうダメだ、沸騰して頭が爆発しそう。
頭ポンポンなんて、乙女ゲームどころか、少女マンガの世界でも憧れるシーンだよっ!
「ハニー、良かったらまた明日も一緒にランチどう?」
「う、うん……!」
なぜか少し照れたような顔の手越君。
……もしかして、もしかしちゃう?!
親密度が上がるような事をした覚えないんだけど、これって前進してるよね?!
もうね、ママンが好きでもいいよ!
これは絶対にハッピーエンドをゲットしてやるんだから!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます